オータムフェス質疑応答 団粒構造を作りやすい腐植の種類などはありますか?

投稿日:2019-12-15  

団粒構造を作りやすい腐植の種類などはありますか?

オータムフェスの質疑応答の回答です。


団粒構造を作りやすい腐植に関してですが、腐植酸の材料となるリグニン等と糖が豊富に含まれる腐植質の堆肥が団粒構造を作りやすいと言えます。腐植酸の合成に必要な要素がふんだんに含まれていれば、どの堆肥でも団粒構造が作りやすい腐植になります。

腐植についてわかっていることを詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

腐植質の肥料を活用する前に腐植について整理しよう


今回の記事ではこれらの話を踏まえた上でオススメの腐植質の堆肥を紹介します。

マッシュORGという廃菌床堆肥があります。堆肥の王様として扱われている腐植質の堆肥になります。



腐植というのは木材中に含まれるリグニンという物質がキノコによって分解され、断片化したリグニンをコウジカビ等の土着菌によって合成されたものとされています。土着菌が断片化したリグニンを活用する際に周辺のデンプン等をエネルギー源として利用します。



廃菌床堆肥というのは上の写真のようなキノコの瓶詰め栽培をした培地を集めて堆肥化したものです。

キノコを栽培するために腐植の材料であるリグニン質のもの、キノコの餌として米ぬかやふすまといった有機物を加えています。キノコが収穫出来たということは、培地中のリグニンは断片化して腐植になりやすい状態であると言えます。



キノコ栽培後に廃菌床を工場の堆肥舎に集めて、培地中の残りの成分を活用して追熟を行います。この過程も腐植の形成を加速させる事に繋がります。


紹介した製造過程を見て、団粒構造を形成しやすい腐植の基がふんだんに含まれていることがわかります。




ここからは本題とは関係ないですが、腐植質の堆肥の選定に関する内容になります。

上記で紹介した廃菌床堆肥のマッシュORGは堆肥の王様と言われる堆肥でしたが、使用がふさわしくないような栽培環境がいくつかありました。

そのような環境で利用した堆肥についてを紹介します。

一つがハイブリットORGバークです。

ハイブリットORGバークは樹皮がほぼ100%で熟成されたバーク堆肥で、一般的には樹皮のみでは熟成が進まず、発酵促進の為に食品残渣等を含めて熟成を進めますが、ハイブリットORGバークは発酵を促進させる為の有機物を混入せず、丁寧に熟成を行っています。

樹皮100%のバーク堆肥である為に、土作りの要素以外の肥料成分は一切含まれていません。


ハイブリットORGバークの使い道ですが、



ハウスミカン等の果樹栽培で果実の品質の向上の為に、収穫期に入るまでにどれだけ綺麗な細根を発生させるか?が重要になってきます。この細根は木の根元に堆肥を置くことで発根を誘導出来るのですが、肥料分が多い堆肥になると、細根の先端が褐色になり、収穫期に行う追肥の質が下がります。

この問題を解消するためにハイブリットORGバークの製造を開始しました。

ハウスミカンに限らず、土作りを行うために腐植を活用したいけれども、余計な肥料分が含まれていると定植後からの栽培が難しくなるということがあります。このような条件の場合はマッシュORGではなく、ハイブリットORGバークがオススメです。




施設栽培で土作りとして家畜糞を利用していた方が陥る問題として塩類集積があります。



塩類集積とは前作までの肥料分(主に水溶性の成分で硝酸態窒素や硫酸苦土の残留分)が残り、作物の根から水分を吸収しにくくなる障害のことを指します。



土壌分析ではEC、石灰とリン酸の値が大きくなっている土壌です。

※実際はこれらの値がもっと大きい。


施設栽培で家畜糞による土作りを行い、一年中屋根を張りっぱなしのハウスで頻繁に発生する問題の一つです。この塩類集積ですが、肥料分の中にフィチン酸という有機態リン酸が残るという問題があります。有機態リン酸は他の肥料成分の肥効を下げると言われており、更に土壌から取り除くのが困難と言われる物質でもあります。


このフィチン酸は米ぬかにも含まれているので、マッシュORGにも若干含まれている可能性があります。

このような家畜糞に汚染された土壌の改善として、

ハイブリットORGという堆肥があります。

ハイブリットORGは剪定枝を主として、茶粕やコーヒー豆粕を加えて熟成した堆肥です。茶粕やコーヒー豆粕は有機態リン酸が少ない上、有機態リン酸を分解する菌が多い傾向にあります。腐植の蓄積はマッシュORGと比較すると劣りますが、塩類集積を改善しつつ土を良くする場合にはオススメの堆肥です。


余談ですが、有機態リン酸は土壌分析では感知できないリン酸とされています。有機態リン酸は土壌の微生物によって分析で感知できる無機のリン酸に変化します。

ハイブリットORG等で塩類集積を解消しようとすると、




2年目のグラフのように一旦リン酸の値が上がり、



3年目以降からリン酸の値が下がり始めます。

2年目のリン酸値の上昇は他の値が落ち着き始めているのであれば土作りで良くなっている証拠ですので、心配する必要はありません。

※土壌分析はグラフの奥にあるグレーの八角形に収まる程栽培が楽になります




他にH-85+といった液体の腐植酸がありますが、趣旨が若干異なるのでこの記事では触れない事にします。



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