土壌病菌との向き合い方

投稿日:2019-12-25  

京都の北部にも花菜類の産地はあります。 ただ、連作によるものなのか持ち込みなのか、施肥のバランスを欠いているのか土壌病菌が媒介している圃場も少なくないので困られている方が多数おられます。白絹病青枯れ病等で収穫ピークを迎える時に枯れてしまうという人件費と資材代金を丸ごと損する病で非常に辛いですよね。  対策として去年から導入していただいているココブロックを使用した。グローバック栽培。

潅水はサンホープのドリップチューブを使うので、簡易な溶液タンクと液肥混入器が必要になりますが、初期投資はそれほど大きくなくグローバックも3~5年ほど使えます。

実際に今年導入された唐辛子やイチゴは病気が出づに順調に生育して増収されていました。


秋には厳しい夏を乗り越えた万願寺唐辛子が立派に生育してました。 

もちろん、葉面散布の手数も多く技術的にも努力されています。

水耕栽培や樽栽培、ロックウールより手軽に手をだせる栽培方法だと思います。


近年分かった事、農研機構より発表の最新の研究結果によると土壌消毒剤は表土から40cmまでしか到達せずに土壌の病原菌を駆逐することはほぼ不可能だと発表がありました。

しかし過酸化水素と鉄、コーヒー粕入りのたい肥での青枯れ菌抑制の研究結果も発表されてたりします。

土から離れた栽培を取り入れるのも一つですが、もう一度土壌のバランスをよく考えて腐植や粘土での土作りもし、土壌ポテンシャルを上げていくという方向性は見失ってはいけないと肥料屋の立場で思っています。 正直そのほうが生産者にとってのメリット性は格段に上がるので。

土壌錬金術が何倍にも収益を上げてくれるなんて、他の産業にはない農業だけに与えられた宝だとうちの技術者は言いますがほんとにそうで、バランスよく経営していって頂けるように培地を使った栽培と土壌を使った栽培を両立させていけるようなお手伝いをしていかないといけないと思っています。


オータムフェス質疑応答 アミノ酸の葉面散布は効果がありますか?

投稿日:2019-12-24  

アミノ酸の散布を推奨されてますが、一説にはアミノ酸の散布は効果ないと聞いたりもしますが、アミノ酸の散布による効果が実証された実験などありますか?

オータムフェスの質疑応答の回答です。


アミノ酸の葉面散布の前に葉面散布全般の話に触れておきます。植物の葉の表面にはクチクラ層というワックス層があり、クチクラが水を弾いてしまう為、肥料分が溶けている水を葉に散布しても効かないのではないか?と疑問が生じます。

その一方、アミノ酸( + 微量要素)の葉面散布を行っている方からは生育が明らかに良くなったという意見も多くあります。

葉の照りや艶が良くなり、食味の向上はもちろんの事、虫による食害や病気の発生が減ったという報告が多数あります。


葉面散布は実際にどうなのか?について迫ってみたいと思います。




少し古い本ではありますが、

農文協から作物の栄養生理最前線 ミネラルの働きと作物、人間の健康という本が販売されています。

この本に葉面散布の原理について記載がありますので内容を紹介しますと、

/*********************************************************/

葉の表面にはクチクラ層に覆われ、そのワックスは外部からの水の侵入や葉内からの水の蒸散を抑制していますが、そこには親水性の直径1nm以下の孔があります。この孔はエクトデスマータと呼ばれ葉裏に多いのですが、葉面に散布されたリンの大半はこの孔から植物体内に侵入します。

/*********************************************************/

※上記の本の42ページより抜粋

と記載されていました。


エクトデスマータは葉の裏に多いですが、葉の表や縁にもあり、そこからも養分を吸収されています。

エクトデスマータの直径よりも小さい分子であれば吸収されるとされ、

アミノサンプロ - 京都農販

S×P42号 - 京都農販


アミノサンプロや各種微量要素であるS×P42号は各成分が十分に細かく親水性が高くなっているので有効であると言えそうです。


ここからは余談なのですが、

葉面散布は作物に追肥的な意味合いの他に障害発生の予防として有効とされていて、

障害発生の予防のためには1週間に一回程度の継続散布が必要とされます。


興味深い効果として、

水溶性ケイ酸による病気に対する抵抗性の誘導やアミノ酸による根圏微生物相の改善効果もあるとされています。


ケイ酸の葉面散布剤として、


地力薬師 - 京都農販


粘土鉱物肥料を粉状にしたものがあります。




またまた余談ですが、今回紹介した本に「土づくり=堆肥施用」ではないというトピックで牛糞堆肥による土作りによって秀品率が低下するという話題がありました。

牛糞堆肥による秀品率の低下の要因はマンガン欠乏を誘発するとのことです。

マンガンは光合成にとって重要な要素となるので、牛糞堆肥の施用によって作物が全体的に弱ることに繋がります。

他には牛糞堆肥の施用によってセンチュウ被害も増えるという報告も記載されています。


葉面散布は問題の完治ではなく、あくまで予防的な意味合いで使用するものです。

葉面散布の効果を最大限に活かす為にはまず土から見直すことが必要です。


最後にアミノ酸の葉面散布によって秀品率が向上した研究報告の紹介します。

浅尾 俊樹 アミノ酸の葉面散布処理によるイチゴの自家中毒回避 島根大学生物資源科学部研究報告 13 , 61 , 2008-09-30


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オータムフェス質疑応答 粘土質の畑で粘土鉱物系の肥料を使用しても良いか?

投稿日:2019-12-23  

うちの圃場はコテコテの粘土ですが、そこにさらに粘土鉱物系の肥料を入れても大丈夫ですか?

オータムフェスの質疑応答の回答です。


この質問の返答の前に事前にいくつか粘土鉱物系の肥料についてを整理しておきます。

土作りの為に腐植質の肥料を使用する時、日本のほとんどの地域では粘土鉱物系の肥料を併用するよう勧めています。

地力薬師 - 京都農販


腐植質肥料と併用を勧めている肥料は2:1型粘土鉱物であるモンモリロナイトになります。

2:1型と呼ばれる粘土鉱物には高い保肥力を持ち、


※農文協 作物はなぜ有機物・難溶解性成分を吸収できるのか 198ページの図を参考にして作成

※Alと書かれているものが粘土で、六角形のものが腐植だとイメージしてください。


粘土の持つ結合力が腐植と強く繋がることで土が形成されると考えられています。

腐植周りについては下記の記事で更に深く触れています。

腐植質の肥料を活用する前に腐植について整理しよう


もう一つ粘土鉱物系の肥料で触れておきたいのは、粘土鉱物肥料といえど、粘土鉱物以外に様々な肥料分を含んでいます。

ここで含まれている成分は普段あまり意識しない微量要素も含まれています。微量要素系の肥料は畑の土を構成する微小な小石から容脱するものが多く、連作で消耗した土ではこの手の成分が少ない傾向にあります。

微量要素が少ないと作物が虫からの食害や病気にかかりやすいという事に繋がりますので、腐植の蓄積 + 微量要素の貯金という効果を狙って粘土鉱物肥料の併用を勧めています。




それでは冒頭の質問にありますコテコテの粘土質の土に粘土鉱物肥料を使用しても良いか?について触れます。

コテコテの粘土質と聞いたらおそらく、



耕した後、トラクタの爪やクワの跡がくっきり残って、乾燥したらカチカチに固まる。塊を手で握っても硬すぎて崩れない。

ということが頭に浮かぶかと思います。


このような粒子が細かくてカチカチに固まるような粘土質の土というのは、

※JA全農 肥料農薬部 施肥診断技術者ハンドブック 2003 32ページより引用


土壌中の主要粘土鉱物でいうところのカオリナイトやイライトといったCECの数値が小さいものだと言われていて、CECが小さいものは腐植との相性が良くない傾向にあるそうです。

一方、粘土鉱物系の肥料として使用するのが、モンモリロナイトやバーミキュライトでどちらもCECが高くなっています。

※他にCECが高いものとしてアロフェンがありますが、これは肥料としては扱われていません。アロフェンに関しては下記の記事に記載があります。

オータムフェス質疑応答 京都には腐植を入れるだけで良い土はありますか?


コテコテの粘土質の土は腐植の蓄積がいまいちな粘土鉱物が多い可能性があると判断出来るので、このような土で秀品率の向上の為に腐植質の肥料を与えても土に定着せずに流れていってしまう可能性があります。

腐植を入れて粘土質の改善の為には、粘土鉱物系の肥料を入れる必要があると言えます。

この時、腐植は気持ち多めに入れると良いでしょう。

※使用量は各肥料のページからダウンロードできるリーフレットに記載があります。


粘土鉱物肥料と併用して使用する腐植については下記の記事をご覧ください。

オータムフェス質疑応答 団粒構造を作りやすい腐植の種類などはありますか?


補足

粘土鉱物系の肥料でベントナイトとゼオライトのどちらが良いか?という質問をよく受けます。

ちなみに今回紹介した地力薬師(モンモリロナイト)はベントナイトに分類されます。

成分は採掘する地域によって異なりますので一概に言えませんが、ベントナイトはCEC低めで微量要素多めであるものが多く、ゼオライトはCEC高めで微量要素少なめという傾向があるみたいです。

肥料としての成績を見ると、粘土鉱物肥料 ≒ CECの高さで評価されることが多いですが、今回の記事の内容にもあります通り、粘土鉱物系の肥料にCEC以外で微量要素の補給にも重きを置いていますので、ベントナイトの方が使い勝手の良い肥料だと判断しています。


追記

粘土鉱物肥料単体での使用は危険です。粘土鉱物系の肥料は風化すると作物に対して毒性を示すアルミニウムが容脱します。粘土鉱物は腐植と結合する事により風化による劣化を避けることが出来ますので、粘土鉱物肥料を守るといった意味合いで腐植の併用が必須になります。

オータムフェス質疑応答 細菌を利用した農薬の作用点について

投稿日:2019-12-19  

農薬のマスターピースは4パターンのうちどれですか?

オータムフェスの質疑応答の回答です。


この質問への返答を始める前に、質問にある4パターンというのが何か?を触れておきます。

オータムフェスのセミナー中に農薬の話をし、



朝倉書店 新版農薬の科学の内容を元に殺菌剤を4パターンに分けて紹介しました。


殺菌剤の4パターンは下記になります。

有機物からエネルギーを取り出すもしくは活用する過程を阻害して、菌の活性を弱める

菌体内で発生する老廃物の除去を阻害して、体内に毒物を溜め込ませ活性を弱める

作物の免疫力の向上に作用し、菌が感染しにくくする

薬剤が菌に触れることで、菌が溶解して死滅する
※この作用の農薬はほとんどない

※二番目の老廃物という表現は老廃物に限らず、重要な物質であっても代謝が落ちて細胞に溜まって活性が落ちることも含みます。

※各々の項目の実際の農薬名はこの記事中では端折ります。


これらを踏まえた上で質問にあるマスターピース水和剤が殺菌剤のどのパターンになるのか?を考えてみます。

マスターピース水和剤 - 株式会社ニッソーグリーンのページを開き、有効成分を確認してみると、

有効成分はシュードモナス ロデシア HAI-0804株と記載されていました。


シュードモナスは細菌の一種なので、作物に細菌をふりかけることで何らかの効果を発揮する農薬であるみたいです。

それでは実際にどのような効果を期待できるのか?を見てみると、

バイオフィルム形成能力がある微生物で、植物の負傷箇所を効果的に保護します

と記載されていました。


バイオフィルムというのは同種の細菌がある一定以上集まると、他の細菌が入れなかったり、薬剤を浸透させないようにしたりといったバリアみたいなものを形成します。

マスターピースに含まれる細菌は作物には毒性のないものを選抜しているので、予防的な意味合いではやめに散布することで他の病原性の細菌の侵入を阻止する効果が期待できそうです。


4パターンの中では少し意味合いが異なりますが、

作物の免疫力の向上に作用し、菌が感染しにくくする

のような作用の農薬であると言えます。


余談ですが、予防を目的とした農薬を使用する場合は、事前に

アミノサンプロ - 京都農販

S×P42号 - 京都農販


アミノ酸や微量要素の葉面散布剤で作物を健全に育てておくことが大事になります。

オータムフェス質疑応答 酸素供給剤を使用しても土壌のpHに影響がないのは何故ですか?

投稿日:2019-12-18  

酸素供給剤で消石灰が発生するのに、土壌のpHに影響がないと書いてありました。何故ですか?

オータムフェスの質疑応答の回答です。


ネオカルオキソ - 京都農販


オータムフェス質疑応答 酸素供給剤の殺菌作用についての記事でも触れた酸素供給剤ネオカルオキソを例として話を進めます。


基肥用の酸素供給剤は過酸化石灰という物質が粒状になっていて、堆肥や他の肥料と合わせて使用します。



過酸化石灰が水に触れると徐々に過酸化水素と消石灰に変わります。

消石灰は栽培開始前に土壌のpH調整の為に用いる生理的塩基性の石灰質肥料のことです。


過酸化石灰が水に触れることで土壌のpHを高めるような成分が出てくるのに何故土壌のpHに影響を与えないか?

これは私個人の意見であって、メーカーの意見ではないことを予めご了承頂いた上でこれからの文章を読んでほしいのですが、

ネオカルオキソの使用量を見ると、1反あたり多くて4袋と通常の石灰肥料と比較して遥かに少ない量となっています。

逆にいえば、ネオカルオキソは少量使用でも十分な効果を発揮する優れた酸素供給剤とも言えます。


余談ですが、

酸素供給剤には上記で紹介した仕込みのネオカルオキソの他に、

即効性のネハリエースや

ネハリエースチラシ(PDF) - 保土谷UPL株式会社


M.O.X - 京都農販


超速攻型の酸素液のM.O.Xがあります。

基肥でネオカルオキソを仕込んだけれども、今年の台風は大型で長雨になると予想され、ネオカルオキソだけでは不安な場合に、雨の前にネハリエースを追肥で仕込み、雨の後に葉面散布でM.O.Xを使用して被害を軽減されている方がいらっしゃいます。


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酸素剤4 (マルチ栽培)

オータムフェス質疑応答 酸素供給剤の殺菌作用について

投稿日:2019-12-17  

酸素供給剤のオキシドールの話題で、ポリフェノールと二価鉄で殺菌作用が増すとのことですが、これは現場で利用できそうな技術なのでしょうか?利用できそうなら具体的な使い方をお聞きしたいです。

オータムフェスの質疑応答の回答です。


はじめにオータムフェス中の酸素供給剤の話題を整理しておきます。取扱の酸素供給剤にはいくつか種類がありますが、


ネオカルオキソ - 京都農販


基肥として利用するネオカルオキソを例にして触れておきます。

基肥用の酸素供給剤は過酸化石灰という物質が粒状になっていて、堆肥や他の肥料と合わせて使用します。



過酸化石灰が水に触れると徐々に過酸化水素と消石灰に変わります。

発生した過酸化水素は消毒液でよく見かけるオキシドールの事で、人や植物等に触れると酸素が発生し、一部の微生物に触れると滅菌作用があります。



上の写真のような降雨の後になかなか水が引かずに作物の根に無酸素のストレスを与えるような畑で酸素供給剤は有効です。




これらを踏まえた上で冒頭の質問の返答に移ります。

過酸化水素 + ポリフェノール + 鉄(二価鉄)で殺菌作用が増すという話は、フェントン反応と呼ばれる現象として有名です。

過酸化水素は巷でよく聞く活性酸素の一種で、ポリフェノール + 鉄が加わる事により、より強力なヒドロキシラジカル(・OH)という活性酸素に変わります。


今年1月に農研機構から過酸化石灰 + コーヒー粕(ポリフェノール) + 鉄塩でプランターレベルではありますが、青枯病に対して有効であるという報告がありました。

(研究成果) コーヒー粕で土壌消毒 | 農研機構


現場で利用できそうな技術であるか?ですが、過酸化石灰やコーヒー粕の使用量が現実的の範囲内であったため、おそらく利用可能な技術であると言えそうですので、今後の研究に期待しましょう。

※土1kgあたり、酸素供給剤とコーヒー粕 + 鉄塩が2gずつ




ここからは余談ですが、



実は今回話題に挙がりましたフェントン反応はキノコ菌等がリグニンを分解して腐植酸にする時に活用しています。

キノコ菌はヒドロキシラジカル等の活性酸素の強烈な作用を利用して、リグニンという非常に硬い物質を分解します。断片化したリグニンはコウジカビ等の糸状菌によって腐植酸へと形を変え、土壌中の粘土鉱物と繋がって団粒構造を作っている可能性が高いとされます。


この腐植酸はフェントン反応におけるポリフェノールと同様の働きをするので、

マッシュORG - 京都農販売


廃菌床といった良質な腐植質の堆肥が土に馴染むようにしつつ、酸素供給剤と良質な鉄があれば、日常的にフェントン反応が発生する事になります。

※ここでのフェントン反応では周辺に腐植酸があるので、(端折りますが)作物の根には悪影響が少ない反応になります


フェントン反応を発生させるような鉄を含んだ肥料は何があるのか?といえば、


地力薬師 - 京都農販


ベントナイト系の粘土鉱物肥料に頻繁に見られる



緑色の石(緑色凝灰岩に含まれる緑泥石)が鉄分豊富とされています。

普段の土作りに酸素供給剤を仕込んでおくと、病気を解決出来るような決定打になるわけではないですが、予防的な意味合いでは確実に働いてくれます。


追記

フェントン反応は土壌中では糖と鉄が多いところで発生しやすいです。


黒糖肥料 - 京都農販

黒糖液肥 - 京都農販


糖分を豊富に含む黒糖肥料を意識しておくと、酸素供給剤の殺菌作用の効果が増すかもしれません。


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生育状況の確認と発根促進に関すること

団粒構造を作りやすい腐植の種類などはありますか?

オータムフェス質疑応答 団粒構造を作りやすい腐植の種類などはありますか?

投稿日:2019-12-15  

団粒構造を作りやすい腐植の種類などはありますか?

オータムフェスの質疑応答の回答です。


団粒構造を作りやすい腐植に関してですが、腐植酸の材料となるリグニン等と糖が豊富に含まれる腐植質の堆肥が団粒構造を作りやすいと言えます。腐植酸の合成に必要な要素がふんだんに含まれていれば、どの堆肥でも団粒構造が作りやすい腐植になります。

腐植についてわかっていることを詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

腐植質の肥料を活用する前に腐植について整理しよう


今回の記事ではこれらの話を踏まえた上でオススメの腐植質の堆肥を紹介します。

マッシュORGという廃菌床堆肥があります。堆肥の王様として扱われている腐植質の堆肥になります。



腐植というのは木材中に含まれるリグニンという物質がキノコによって分解され、断片化したリグニンをコウジカビ等の土着菌によって合成されたものとされています。土着菌が断片化したリグニンを活用する際に周辺のデンプン等をエネルギー源として利用します。



廃菌床堆肥というのは上の写真のようなキノコの瓶詰め栽培をした培地を集めて堆肥化したものです。

キノコを栽培するために腐植の材料であるリグニン質のもの、キノコの餌として米ぬかやふすまといった有機物を加えています。キノコが収穫出来たということは、培地中のリグニンは断片化して腐植になりやすい状態であると言えます。



キノコ栽培後に廃菌床を工場の堆肥舎に集めて、培地中の残りの成分を活用して追熟を行います。この過程も腐植の形成を加速させる事に繋がります。


紹介した製造過程を見て、団粒構造を形成しやすい腐植の基がふんだんに含まれていることがわかります。




ここからは本題とは関係ないですが、腐植質の堆肥の選定に関する内容になります。

上記で紹介した廃菌床堆肥のマッシュORGは堆肥の王様と言われる堆肥でしたが、使用がふさわしくないような栽培環境がいくつかありました。

そのような環境で利用した堆肥についてを紹介します。

一つがハイブリットORGバークです。

ハイブリットORGバークは樹皮がほぼ100%で熟成されたバーク堆肥で、一般的には樹皮のみでは熟成が進まず、発酵促進の為に食品残渣等を含めて熟成を進めますが、ハイブリットORGバークは発酵を促進させる為の有機物を混入せず、丁寧に熟成を行っています。

樹皮100%のバーク堆肥である為に、土作りの要素以外の肥料成分は一切含まれていません。


ハイブリットORGバークの使い道ですが、



ハウスミカン等の果樹栽培で果実の品質の向上の為に、収穫期に入るまでにどれだけ綺麗な細根を発生させるか?が重要になってきます。この細根は木の根元に堆肥を置くことで発根を誘導出来るのですが、肥料分が多い堆肥になると、細根の先端が褐色になり、収穫期に行う追肥の質が下がります。

この問題を解消するためにハイブリットORGバークの製造を開始しました。

ハウスミカンに限らず、土作りを行うために腐植を活用したいけれども、余計な肥料分が含まれていると定植後からの栽培が難しくなるということがあります。このような条件の場合はマッシュORGではなく、ハイブリットORGバークがオススメです。




施設栽培で土作りとして家畜糞を利用していた方が陥る問題として塩類集積があります。



塩類集積とは前作までの肥料分(主に水溶性の成分で硝酸態窒素や硫酸苦土の残留分)が残り、作物の根から水分を吸収しにくくなる障害のことを指します。



土壌分析ではEC、石灰とリン酸の値が大きくなっている土壌です。

※実際はこれらの値がもっと大きい。


施設栽培で家畜糞による土作りを行い、一年中屋根を張りっぱなしのハウスで頻繁に発生する問題の一つです。この塩類集積ですが、肥料分の中にフィチン酸という有機態リン酸が残るという問題があります。有機態リン酸は他の肥料成分の肥効を下げると言われており、更に土壌から取り除くのが困難と言われる物質でもあります。


このフィチン酸は米ぬかにも含まれているので、マッシュORGにも若干含まれている可能性があります。

このような家畜糞に汚染された土壌の改善として、

ハイブリットORGという堆肥があります。

ハイブリットORGは剪定枝を主として、茶粕やコーヒー豆粕を加えて熟成した堆肥です。茶粕やコーヒー豆粕は有機態リン酸が少ない上、有機態リン酸を分解する菌が多い傾向にあります。腐植の蓄積はマッシュORGと比較すると劣りますが、塩類集積を改善しつつ土を良くする場合にはオススメの堆肥です。


余談ですが、有機態リン酸は土壌分析では感知できないリン酸とされています。有機態リン酸は土壌の微生物によって分析で感知できる無機のリン酸に変化します。

ハイブリットORG等で塩類集積を解消しようとすると、




2年目のグラフのように一旦リン酸の値が上がり、



3年目以降からリン酸の値が下がり始めます。

2年目のリン酸値の上昇は他の値が落ち着き始めているのであれば土作りで良くなっている証拠ですので、心配する必要はありません。

※土壌分析はグラフの奥にあるグレーの八角形に収まる程栽培が楽になります




他にH-85+といった液体の腐植酸がありますが、趣旨が若干異なるのでこの記事では触れない事にします。

オータムフェス質疑応答 肥料関係質問回答2

投稿日:2019-12-14  

オータムフェスの回答肥料関係

今回は腐植についての話し。 京都農販の木村が回答します。

腐植についてはこちらを一度ご覧ください。


腐植に求める効能は何か。 アルミニウムと合わせて土作りをするのが目的なら例えばH-85+や粒状の高濃度腐植酸肥料等を使えばいいと思いますが、そもそも腐植を投入して土作りを促進させたいという事であれば恐らくではありますが、もう土が連作障害などで痩せてきたり養分過多になっていたり、物理性が著しく悪くなっている場合も多いと思います。

粘土と腐植を使った土作りには超即効性は期待できないのでその目の前の作の結果も大事だと考えた時に打つ手は色々あると思います。 

ハイブリットORG マッシュORG バーク堆肥 等まず保水性や土の中の比重等を考慮した場合。 ハイブリットORGやバーク堆肥を投入する事でその作に対する物理面で役立てる事ができます。 高温乾燥しやすい環境で定植した花菜類等の苗の周りにバークを撒いて乾燥害を軽減する技術もあるので、土中に投入する事でその作の物理性をインスタントに改善する役割を持ちながら長い目で土つくりも兼ねていくのがハイブリットORGやバークの持つ特徴です。 生物性もあげてくれるんではないでしょうか?肥料分が少ないのも特徴でEC過剰害などを起こしている畑にも相性が良いです。

マッシュORGはとても軽い堆肥です。 比重を軽くして物理性を改善する効果、ブレの全くない内容物、カルシウム肥料は要らなくなるのと薄っすらした肥料効果が3か月程持続するので肥料の急な切れを起こしにくくします。 あとはキノコを生やした培地の持つ生物性や菌体肥料としての効果は恐らく桁違いだと予想できます。 微生物の住家と餌をそのまま投入する感じです。その他にもアミノ酸肥料の葉面散布などと合わせると発根効果や病気の抵抗性等様々な部分でのポテンシャルが上がるのが予想できそうです。

などなど、腐植にも色々な種類のものがありますので単にフミン酸やフルボ酸を入れるだけでも良い場合もあるので用途に応じてご相談して頂ければ回答させて頂きます。


オータムフェス質疑応答 肥料関係質問回答

投稿日:2019-12-12  

今回は肥料関係 酸素供給剤の質問について木村が回答させて頂きます。


酸素供給剤の頻度はどのくらい入れれば良いでしょうか?

確かに気になる大事なところだと思います。が、肥料もそうなんですが、胃袋の大きさや

持ちの良し悪しによって肥料の投入量は変わってくるのと同じように酸素供給剤も使用量はこれだけと言い切れないのが現状で、まず酸素供給剤のもつどのような効能に期待するのか、どの部分のリスクをケアするのかを明確にして使用量を決めるといいと思います。 

ここで自分の集めた知見で概算量をご提案させて頂きます。

まずこれを1~4まで続けて読んでください。

1 病気の抑制、軟腐等嫌気性でグラム陰性の病気などの予防として使う場合。

考える事は水はけの度合いと、近くに大雨などで溢れてくる恐れのある河川があるのか無いのかで変わってきます。 大雨や長雨が降るとその後晴れても2日程度畝間に水分が溜まったり、局所的にづっと水が溜まってしまうような圃場、砂ではなく水田地の転作畑 中程度の水はけといったところ。

河川からの流れ込みリスクがない場合。90日タイプのネオカルオキソ30kg元に使用 

またはネオカルオキソ無し、雨の多い時期にネハリエース タイミングを見て20~30kgバラマキで雨後使用。  

河川からの流れ込みや大雨で流れが出来るような畑はネハリエースはバラマキしても流される恐れがあるのでネオカルオキソを必ず使用最低30kg~50kg使用。 ネオカルオキソなら土中に混ぜている為流れにくい。

大雨後にさらに温度が上がりきる前に打てるならMOXで滅菌と酸素の強い補給。 これを合わせて病気の侵入を防ぐ。

砂に近いなら本数を減らし、重粘土よりなら本数を増やす。 雨でのダメージを見極めて打つ手を調整するという技術はつけてもらう必要があると思います。 うちでは病気が入ったら終わりだという認識で酸素剤は常に多めに使用。 その分農薬代が浮いていると考えています。

2 発根の為に使う場合はネオカルオキソ元に30kg程度でいいと思います。

その後、MOX等を定期的に散布していけば滅菌もできて良いと思います。

3 施設ではできればネオカルオキソを30kg/10a使用 花菜類などでは着果のストレスや収穫ストレスを見極めながら定期的にMOXを灌注していってもらい、アミノ酸や微量要素と混用していってもらえばいいと思います。

酸素剤は湿害と戦う上で頼もしい剤ですし、根のまわりの環境も整えて、滅菌までしてくれる便利な剤です。 より効果的な使い方をこれからも追及していきたいと思います。 


長崎地区青年農業者連絡協議会様で土壌分析の活用の話をさせて頂きました

投稿日:2019-12-10  


長崎県の青年農業者、長崎県振興局と長崎市の職員向けに肥料と土壌分析の活用の話をさせて頂きました。

長崎は東に向かえば雲仙で良い土へと向かっている環境と、南には栽培しにくい土が分布していて、良い環境の資源を難しい地域に客土という形で対応されていて、今までにない栽培文化がある土地でした。


我々が持つ知見が長崎の秀品率に少しでも貢献できれば幸いです。

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