HATAKEカンパニー様で防除について話をさせて頂きました
HATAKEカンパニー様の社内研修の一貫として、農薬、緑肥や肥培管理での防除の話をさせて頂きました。
(株)HATAKEカンパニー | ベビーリーフ・レタスミックス、葉物野菜、ハーブ、根菜のHATAKEカンパニー
今回の話によって秀品率の向上に貢献できれば幸いです。
愛知県幸田町 農業法人様に集まって頂いての勉強会 野菜の防除と緑肥について話させて頂きました。 pic.twitter.com/f09iVZCPyq
— Kyoto-nouhan ORG (@KyotoNouhan) January 29, 2020
クリーニングクロップとして緑肥を育てた時に土に鋤き込んでも良いですか?
高槻の原生協コミュニティルームで緑肥の話をさせて頂きましたの会で下記の質問がありました。
育てた緑肥は土に鋤き込んで良いですか?
この質問の背景には塩類集積のハウスで過剰な養分を緑肥に吸わせて除塩することを目的としていることがあります。
せっかく緑肥に余剰分を吸わせたのにそれを土に還して良いか悩むところ。
この質問に対していつも鋤き込んで良いと返答しています。
鋤き込んで良いと返答している理由は緑肥が吸収した窒素(硝酸態窒素)は体内でタンパクに変わって、それは土壌への有機物の補給で利用出来ます。同じ窒素であっても土壌への影響は全く別物です。
有機物の投入は土壌の物理性を改善し、排水を良くしつつ保肥力を高める為、余剰成分の土壌への影響は少なくなります。
リン酸等の余剰成分の話も同様です。
他にも鋤き込む方が良い理由はありますが、その理由はこの記事の文末に記載します。
上記の返答に対して更に質問がありました。
農林水産省のサイトの緑肥の資料でクリーニングクロップとして緑肥を利用した場合、ソルガム等では窒素やカリウムの吸収量が多いので、刈り取って土壌の外に持ち出さなければならないと記載がありましたが、それでも土に鋤き込んで良いのでしょうか?
この話を始める前に農学で一般的に考えられている内容に触れておくと、
農学や栽培の指導書ではカリウムは欠乏症を起こさないという考え方があります。
土壌鉱物由来や川からの入水でカリウムは補充されるのでカリウムは不足しないと考えられていますが、この学説も最近疑問視され始めています。
上記の内容を踏まえた上で、自身でお持ちの土壌分析の結果を眺めてほしいのですが、
ハウスで家畜糞を連投しているところを除くと慢性的にカリウムは不足している傾向にあります。
この理由として土壌の酷使があり、有用な金属系の肥料の元となる鉱物が消耗され尽くされているという背景があります。
有用な土壌の鉱物が消耗され尽くされているという背景の元でハウスの方を考えてみると、
土壌分析値としてカリウムが多くなっていますが、おそらくこれは家畜糞由来のカリウムで、家畜糞の連投によって土壌の鉱物は消耗されている可能性は十分に有り得ます。
もう一点注目してほしいのが、家畜糞という有機物量が大いにも関わらず、保肥力が少ないということ。
※家畜糞特有のECを上げる硝酸態窒素が多いにも関わらず、本来必要なCECの要素となる腐植が少ないことから判断しています。おそらくこの畑は物理性が悪くECが上がりやすい状態であるはずです。
土壌の保肥力が上がると相対的にカリ、石灰と苦土の値は下がります。
ここからカリは余剰に見えるけれども、それは保肥力が低いからであって、本来欲しい腐植の量が増えるとカリウムの量は大したことはないということになります。そこに土壌の鉱物は消耗している可能性も十分あるということを加えると、緑肥で畑の外にカリウムを持ち出すという行為は勿体無いことになります。
窒素のところで触れましたが、土壌の物理性が高くなると余剰成分は土表面に留まらなくなるので、その観点からもカリウムの持ち出しは栽培時のカリウム欠乏を招く要因になります。
最後に緑肥を土に鋤き込むべき理由ですが、
Bishnu SarangiによるPixabayからの画像
緑肥は休耕に対して省力化しなければ本末転倒です。刈り取りして有機物の量を減らして、植物性堆肥を再投入するのは人件費と肥料の購入の経費の面で勿体無いです。
余剰成分の土壌への還元が心配であれば、緑肥を鋤き込んだ時に
ハイブリットORGバークあたりの養分の少なく且つ、土壌の物理性や化学性を高める資材を投入すれば良いです。
土壌の化学性が向上すれば、緩衝性が増し、余剰成分に対して土の方でなんとかしてくれます。
石灰過剰の問題は緑肥の活用が巧みな方は次作から石灰系の肥料を極力入れないという対処をされています。
緑肥後の栽培では作物の発根量が増していて、収穫による養分の持ち出しもあるので、その次の作の頃には理想に近い値になっているはずです。
最後に注意ですが、
今回の話は東日本大震災後の緑肥によるセシウムの除去等の話は除きます。
緑肥を活用する前のオススメ記事
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余談
カリウムは土の粘土鉱物と有機物が結合する際に重要であると考えられています。カリウムを除くと土への有機物の蓄積が抑制される可能性があります。
カルシウムで団粒構造形成を促進を謳う土壌改良剤 - saitodev.co
高槻の原生協コミュニティルームで緑肥の話をさせて頂きました
大阪府高槻市の原地区にある生協さんのコミュニティルームで緑肥の話をさせて頂きました。
今回の話のきっかけは発起人の方が地域の方から引き継いだハウスが塩類集積によって秀品率が低下していた土で、解決した事例で背景にある知見から知りたいということで依頼がありました。
※塩類集積については当記事の末尾にあるリンク先の記事に記載があります。
今回の緑肥の話の準備として、非常勤で関わっている京都農販のブログで予習復習用の緑肥の記事をいくつか準備しています。
ブログの内容と合わせて、秀品率の向上に貢献できれば幸いです。
ハウス内の塩類集積対策について
塩類集積しているハウスでどのように対処すれば良いか?という話題になりました。
先に塩類集積について整理しておくと、
EC過剰の結果について、、の記事で触れている通り、土壌表層に塩(えん)がたまり、極端な状態では土表面が白っぽくなる現象です。
※晴天の日に白い粉が見やすいです。雨の日では白い粉が見えないことがあります。
土壌分析の結果を見ると、ECが異常に高く、石灰、リン酸とカリも過剰になっている状態であることが多く、この状態で水を与えても、塩(えん)の方が水を吸ってしまい、作物の根に水が到達せず、株が弱ってしまいます。
塩類集積が発生している土壌で無理やり栽培をしても、追肥や農薬で経費が上がる割に秀品率が低い、もしくはまったく収穫できないという状態に陥り、経営的に非常に不利な状態になります。(最悪の場合、収入がなくなり倒産します。)
塩類集積は土の腐植量が足りず、物理性が悪い状態で、塩(えん)を大量に含む家畜糞等を元肥で使用し続けた場合に発生します。
塩(えん)にはどのようなものがあるかというと、家畜糞に大量に含まれる硝酸態窒素の残留物である硝酸根(こん)、即効性の肥料(硫安や硫酸苦土)等に含まれる硫酸根(こん)や海水が入り込んでしまった際や家畜糞に含まれる塩酸根(塩素イオン)があります。
これらの塩(えん)は水溶性で、大量にある場合は水を吸水するという特徴があるため、本来作物に与えようと思っていたのに、塩(えん)の方が水を奪ってしまう。
水に含まれている養分も作物の根に到達しないということで株が弱ってしまうという現象に陥ります。
この塩類集積が発生したハウスではどのような対策をとれば良いのか?を考えてみます。
塩類集積の問題を解決する一番の手は土表層に溜まった塩(えん)を除塩することです。
水に溶けやすいという特徴を利用して、ハウス全体を潅水して、その水をハウスの外に流し出せば塩類集積は軽減されます。
しかし、この問題は大きな労力を要しますが、塩類が溜まりやすいという状態は解決しません。
他の手として、
緑肥に土から塩(えん)を吸ってもらうという手があります。
他の緑肥の効果である物理性の向上も塩類集積の解決に貢献します。
緑肥の種類は土から貪欲に養分を吸収するイネ科のソルゴーあたりを選択すると良いです。
しかし、緑肥にも塩類集積が発生している土壌で無事に発芽するのか?
硝酸根は吸収できるけれども、硫酸根や塩酸塩は吸収できないという問題があります。
ここで塩類集積の環境で緑肥を育てる為に一つ工夫を入れます。
植物性の堆肥を土に混ぜて、土に空隙を増やした状態でスプリンクラで散水して、塩(えん)を土の表層から深いところに移行させた上で緑肥のタネを播種します。
塩類集積は土の有機物が極端に少ない状態で発生しているので、緑肥を育てる前は植物性の有機物は大量に欲しいです。
剪定枝や落ち葉が豊富に手に入るのであれば、これらを大量に入れるという手もありです。
ただし一点程注意が必要で、未熟な木質資材の場合は土の空隙が極端に増えて乾燥しやすくなります。緑肥のタネを播種する時は発芽してある程度育つまで毎日散水する必要があります。
緑肥が無事育ったら、花が咲く前に刈倒して鋤き込みます。
緑肥が土の余分な成分を吸収したのに、株を刈倒して鋤き込んだら成分は土に戻って意味がないのでは?という質問があります。
緑肥は土壌中の過剰な養分を吸収したら、その養分を元に体を作ります。その物質は土に還ると腐植の材料として役立ちます。
緑肥を育てる為のスプリンクラーは
ハンガースプレーがオススメです。
ハンガースプレーセットは塩類集積問題の解決後の栽培でも有効で引き続き利用できます。
塩類集積問題に取り掛かる前に下記の記事の熟読をオススメします。
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EC過剰の結果について、、
世界で問題になっている降雨量が少ない地域での塩類集積は、ECの数値が4を境目にして耕作を放棄するかどうかの基準になっているようです。
一度塩類が集積した土壌では表層に塩類が蓄積する現象が見られ、一旦はじまると、強力な土壌改良を行わない限り、表面に肥料分が移行し続ける問題が発生します。
この状態の土壌では、局所的にEC値が極端に高くなる箇所が点在しますので、その場所にECメーターを指した可能性あるなという話しです。
意図的に表層の土を取ったので尚更可能性は高いかもしれません。
逆に土の中の方は表層までのECの高さは無い状態。 これって水が浸透しないのではないでしょうか??
他の状況から考えても栽培ができるかどうかのデットラインにいる可能性がありそうですのでこれから強力な除塩や土壌改良をしていく必要があるハウスは南棟か見受けられました。
まず初めに土が変わりECが落ち着くと、水管理はらくになり、白い根に遭遇しやすくなる筈です。
一度強力に酸性に傾いた土壌はタチが悪そうです。
絶対壊れてる!!
昨日は鹿児島、本日も九州巡回でした。
巡回時はpH検査紙やECメーターは持ち歩きます。
路地ならせいぜいECは0.05や6くらいが作中に高めで検出されますが、ハウスに関してはECはたまりやすい。
本日ハウスでEC系で検査したところ
4.0という数字を検出しました。 嘘だろうともう一台の検査機で測定しても3.3とか、、
未だに信じていないという話し。 石崎電機さん HANNAさん修理宜しくお願いします!!
強烈な塩類集積じゃなきゃ良いんですが。。
過剰に心配をおかけして現場ではすいませんでした。
でも土作りは継続して頑張って頂きたいと思います。
緑肥を活用して、土壌の物理性の向上を早める
地力薬師という粘土鉱物系の肥料があります。
腐植系の肥料と併用することで土壌中の腐植の蓄積を助ける働きがあると謳っている肥料になります。
島根県出雲市で採掘される鉱物で、このあたりで採掘出来るものとして緑色凝灰岩というものになります。
地力薬師の肥料袋から中身を取り出し、注意深く見てみると、淡い緑色の石が入っています。
この石は2:1:1型粘土鉱物の緑泥石(英名でクロライト)と呼ばれている鉱物が含まれている可能性が高く、JAの施肥診断技術者ハンドブックによると2:1:1型粘土鉱物は作物の生育に好ましい性質を有すると記載されています。
※JA全農 肥料農薬部 施肥診断技術者ハンドブック 2003 32ページより引用
この緑泥石ですが、粘土鉱物に求める性質の一つであるCEC(陽イオン交換容量:保肥力)を見ると、地力薬師の主成分であるモンモリロナイトが60〜100 meq/100gと記載されているところ、緑泥石のCECはなんと2〜10 meq/100gで、相当の差があります。
ちなみによく話題に挙がる1:1型粘土鉱物のカオリナイトのCECが2〜10 meq/100gです。
※meq/100gはCECに用いる数字で値が高い程土壌中での肥料の保持能力が高いとされます。
この緑泥石ですが、植物の根による物理的な風化作用と有機酸による処理(化学的な風化)によってモンモリロナイト並のCECに上がるそうです。
※朝倉書店 白水晴雄著 粘土鉱物学 -粘土科学の基礎- 新装版を参考にして記載
※根から分泌される根酸でも同様の効果が得られるはずです
これらの話をまとめると、地力薬師の肥料は施肥した直後は効果が低く、植物が伸長するに従って効果が高まっていく肥料であると言えそうです。
緑肥を採用する目的の一つに団粒構造の形成により土壌の物理性の改善があります。物理性を改善する過程において植物の根の作用が重要であるとされています。
植物を一株抜いて発根を観測してみると、(特に単子葉で)固いところを貫くように伸長し、貫かれた固まりを指で潰すとすぐに崩れます。
これは植物の根による鉱物の風化作用の一種だと言えます。この風化を経て、土壌中の固い箇所は細かく柔らかくなります。
根による風化作用と緑泥石の話を合わせると、発根が活発になればなるほど、粘土の持つ吸着性は増し、周辺の腐植と結合して良い土へと変化していくと言えます。
緑肥を利用する前の注意事項をまとめましたの記事で緑肥の播種の前に土壌改良材を施用し発根量を増やすべきだと記載しましたが、土壌改良材によって環境が良くなることで発根量が増し、それに伴い粘土鉱物の効果が高まり次作へと繋げることが出来ることになります。
緑肥は作物の栽培と異なり、本来通路である箇所や株数が多く、栽培中では効果を発揮しないような粘土鉱物にも作用し、これに合わせて、地上部の茎や葉が茂り鋤き込んだ際の有機物量も大幅に増え、土に還る腐植の量も増える事になります。
緑肥が堆肥の土壌改良の効果を高める。
この視点があると栽培は更に有利になるはずです。
リン酸過剰問題を緑肥で解決する時に意識すること
土壌分析の結果でカリ不足とリン酸過剰に悩んでいる方から緑肥でどうにかなるか?と質問がありました。
わかりやすくグラフで示すと露地であれば上のような結果でしょうか。
リン酸過剰である時は大抵石灰も過剰になっていることが多いです。
はじめに緑肥で改善できることと出来ない事に触れておくと、
改善出来ることとしては、
・余剰成分を吸収することが出来る。この株を鋤き込んでも余剰成分がそのままの形で還ることはなく、団粒構造の成分として有効活用される
例えば、ECの要素である窒素があります。ECを高める窒素は無機の硝酸塩で、緑肥は根から硝酸塩を吸収するとタンパクに変えます。このタンパクを土に鋤き込むと腐植の基になります。
リンは細胞膜のリン脂質の材料として利用され、これもまた土の中で何らかの良い作用として働く可能性があります。
・難吸収性の成分を易吸収性の成分に変えて、次作で栽培する作物にとって吸収しやすい形にしておく
例えば、リン酸が上記に当たります。
土壌中に蓄積したリン酸は主に無機のリン酸石灰等と有機態リン酸があるとされています。
無機リン酸は溶けにくい為、作物になかなか吸収されません。
※リン酸石灰という形で土に残っている為、リン酸と同時に石灰も過剰であることが多い
もう一つの有機態リン酸とは、
By Yikrazuul - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
上記のように記載されるリン酸(右側の中心にPがあるものがリン酸)で、穀物の実に多く含まれる貯蔵用のリン酸らしく、人や家畜が食べても吸収されにくく、家畜糞に多く含まれるとされています。
この有機態リン酸は、
作物にとって有用な肥料成分をキレート作用という形で吸収しにくい状態にします。家畜糞で毎年土作りをしていると、年々他の成分の欠乏症が目立ってきたなと感じるものの要因の一つだとされます。
畜産の家畜に与える飼料でも有機態リン酸の消化率の低さが問題になっていて、リン酸の消化率の低さを解決するためにフィターゼという酵素を飼料に加え、リン酸を吸収しやすい形にして与えるとされています。
このフィターゼは青カビ等の土壌微生物から分離したものを利用しているそうです。
続いて改善されないこととして、
・カリウムを含め、亜鉛や銅といった微量要素の欠乏の問題は解消しない
があります。
金属系の肥料成分は土壌の鉱物から溶け出たものが主であり、緑肥を採用する時は大半が土壌劣化を感じた時で、この環境では鉱物由来の微量要素が出し切った状態である可能性が高いです。
先に冒頭のカリ不足の解決策を記載しておくと、緑肥を利用する前の注意事項をまとめましたで記載した通り、
緑肥を育てる為に鉱物系の土壌改良材を使用することです。
冒頭の質問にありますリン酸の過剰に対して、どのように解決すべきか考えてみます。
リン酸は無機有機問わず、どちらも土壌の微生物が活発になることで吸収しやすいリン酸へと変わり、活発になってほしい微生物は好気性の枯草菌や青カビであるとされています。
茶粕やコーヒー豆粕を主とした植物性堆肥を事前に施用し緑肥の発根量が増える環境になった状態で、
Bishnu SarangiによるPixabayからの画像
団粒構造形成率が最も高く土をフカフカにするイネ科のソルゴーか、
リンの吸収を促進する菌根菌と相性の良いキク科のヒマワリを採用する。
※ソルゴーとヒマワリはどちらも夏の緑肥で、秋から緑肥を利用したい場合はコスモスやエンバク等あたりが効果が高いと予想している。
※緑肥の選定は農文協 橋爪健著 緑肥を使いこなすを参考にしています
どちらの緑肥も背丈が大きいので、緑肥の効果を高める為に追肥を与えると良いです。
※緑肥を育てる前の堆肥として茶粕やコーヒー豆粕が良い理由や追肥で最適な肥料については下記の記事に説明があります。
次によくある質問で緑肥の刈り取り時期があります。
上の写真ではわかりやすいように花を付けていますが、花が咲く前に刈り取り鋤き込むと良いです。
よく刈り取った緑肥を持ち出した方が良いか?と質問を受けることが多いですが、よほどの有害物質を吸収させた株で無い限りは鋤き込む方が効果が高いです。
最後にリン酸過剰の問題に取り組むと、
このように一旦リン酸の数値が上がり、
翌年リン酸の値が下がるという現象が見られますが、これはリン酸過剰の問題が解決の方向に向かっている兆しですので心配は無用です。
何故リン酸の値が一度上がるかは下記の記事に説明があります。
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緑肥を利用する前の注意事項をまとめました
緑肥の相談を時々受けます。
畑を休ませる時にはどの緑肥が良いですか?が大半ですが、
時々、緑肥のタネを撒いてみたけれども、思うように発芽しなかったり、状況があまり改善されないという連絡もあります。
緑肥の結果がよろしく無い畑では共通の問題点があり、
この問題はこれから緑肥を活用することを検討している方でも重要になるのでこの機会に整理します。
※写真はイネ科の緑肥のエンバク
緑肥のタネを撒く前に、
次作の土壌改良材として使用予定の肥料や堆肥を前倒しして緑肥を育てる為に施用すること
※緑肥の種類に関係なく、上記の内容はどの緑肥でも言えます
緑肥に求める効果といえば、
・有機物の補給
・排水性保水性の改善(団粒構造の促進)
・家畜糞等の連続使用によってよろしくない成分が溜まったものを抜く
・リン酸等の利用困難な成分を吸収しやすい形にする
といったものがあります。
どの効果にも共通して言えることとして、
作物栽培時と同様、緑肥も発根量が重要となります。
有機物の補給では、地上部を繁茂させる必要がありますが、発根がしっかりしていれば葉も茂り、鋤き込んだ際の有機物量が増します。
物理性の向上や余分な成分の吸収は発根量が多ければ効果が高いことは安易に想像できます。
ここで一点意識してほしいこととして、緑肥を使用したいと頭に浮かんだ時の畑の土の状況は十中八九秀品率が落ちていることが体感できた時です。
秀品率が落ちた原因として考えられるのが、土壌の劣化やよろしくない成分が溜まりすぎた時で、これらの状況は病原性微生物が活発になりやすい状態でもあるので、更に秀品率が下がり、農薬代等がかさんで経営が難しく感じている時です。
緑肥も作物同様植物なので、栽培の時のように緑肥も育ちやすい環境を用意してあげなければなりません。
特に家畜糞での栽培の連作の場合、家畜糞の中にある残留性の成分は発根を抑制するので、養分過剰だと思っていた土壌でも緑肥がうまく育ってくれません。
※家畜糞による連作障害の説明は下記の記事に記載があります
土壌の劣化は土壌の鉱物由来の微量要素も減っている状態であり、緑肥も当然微量要素を欲するので、緑肥の前に植物性の堆肥だけでは事足りません。
これらの話をまとめると、
冒頭に記載した通り、土作り資材は前倒しして緑肥の栽培で使用することが大事であることはわかります。
緑肥の栽培時の追肥も緑肥の効果を高めることを貢献します。
緑肥前のオススメの肥料として、
物理性の改善を目的とした肥料でハイブリットORGがあります。
ハイブリットORGを推す理由を知りたい方は下記の記事をご覧ください。
土壌の劣化対策の微量要素の補給を目的とした肥料で地力薬師があります。
追肥用の肥料として黒糖肥料をオススメします。
黒糖肥料に豊富に含まれるアミノ酸によって緑肥の発根を助けます。
緑肥は最低でも3ヶ月近くと長い時間畑を占拠する事になるので、
緑肥の育つ環境を快適にして、より効果を高めましょう。
-続く-
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