
京都農販日誌
モンモリロナイトの緩衝性について
2026/07/06

2:1型粘土鉱物のモンモリロナイトの肥効で緩衝性があるのは何故か?という話題が挙がりましたので見ていくことにします。

図:山崎淳司著 粘土鉱物の構造と化学 化学と教育 68巻 9号(2020年) 356ページ 図1より引用
土壌改良用の鉱物系肥料のモンモリロナイトとゼオライトの記事で記載されている内容になりますが、モンモリロナイトはケイ酸の層-アルミニウムの層-ケイ酸の層という並び順の層状の構造をしています。
モンモリロナイトは酸や環境の変化によって風化が進むと、その骨格を保てなくなり、ケイ酸などが周囲に溶け出してしまいます。
成分が周囲に溶け出す現象を溶脱と呼びますが、このときモンモリロナイトの表面や崩壊部が周囲の水素イオン(H+)を取り込むため、土壌の急激な酸性化を抑え、pHを上げる働きをします。
具体的な反応は下記の通りです。
溶脱したケイ酸:SiO44- + 4H+ → Si(OH)4
露出したアルミニウムの層:≡AlOH + H+ → ≡AlOH2+
※ ≡Alは鉱物表面で露出しているアルミニウムという意味
※ 土壌のpHが高い時の反応は省略します
冒頭の写真の青緑っぽい2:1:1型粘土鉱物の緑泥石(クロライト)の場合、ケイ酸の層の間に鉄やマグネシウムの層があり、更に下記の反応も追加されます。
[Mg3(OH)6](層状構造) → 3[Mg(OH)2](可溶化)
Mg(OH)2 + 2H+ → Mg2+ + 2H2O
余談ですがイネは溶脱したケイ酸はSi(OH)4の形態で吸収され、露出したアルミニウムの箇所が腐植との結合する箇所になります。
イネの安定多収に欠かせないケイ酸チャネルの構造基盤を解明 | 東京大学 先端科学技術研究センター

稲作では今回触れましたモンモリロナイトの緩衝性というものが非常に重要となっていまして、畑作程土作りを行う習慣の無い稲作ではモンモリロナイトによる緩衝性が重要な位置を占めています。
モンモリロナイトが不足している田では、土壌の酸性化を止めることができず鉄の過剰な溶脱を引き起こします。
鉄は肥料として重要なだけでなく、水を張って還元状態にした際のガスの発生の抑制に対しても重要です。
最近では稲作で鉄がしっかりとあることにより窒素固定が起こり、稲作の肥料の減肥に繋がる可能性もあります。
稲作の土壌分析でpHが慢性的に低い時は、モンモリロナイト(地力薬師特集)による化学性(緩衝性)の向上をおすすめします。
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