
京都農販日誌
稲作の鉄欠乏に錆びた鉄パイプの投入が何故効いたのか?
2026/07/30

土壌分析の結果で鉄欠乏の記載があり、錆びた鉄粉を散布すると良いというアドバイスを頂きましたので田の水口に錆びた鉄パイプを放り込みましたら、パイプの周辺の株の葉色が濃くなり生育が旺盛になりました。
錆びた鉄パイプを放り込んだだけなのに何故生育が良くなったのですか?という質問がありました。
※毎年この田を定期的に見ていますが、今回のような現象は始めて見ました。
この話は稲作における一発肥料と土壌の劣化についてで記載している問題とも連動していますので、丁寧に見ていくことにします。
稲作と鉄と聞いて真先に思い付くことが、単純に肥料成分としての鉄、ガス発生の防止剤と窒素固定の基の3つの働きがあります。
1つ目の肥料成分としての鉄ですが、鉄は光合成等で得られたエネルギーの運搬としての働きがあり、根から吸収した無機態窒素からアミノ酸を合成する際に重要になります。
鉄がしっかりと効いたことにより葉色が良くなったということが考えられます。
2つ目のガス発生の防止剤ですが、

稲作と酸化還元電位の記事で記載しました錆びた鉄、言い換えれば酸化された鉄を入れることによって、根腐れの原因である硫化水素の発生が抑制されます。
田の土壌中に含まれる有害物質から根を守るための被膜形成でも鉄を利用します。
山口紀子等 水稲根の酸化鉄被膜によるヒ素吸収制御 - Photon Factory Activity Report 2012 #30 (2013) B
3つ目の窒素固定ですが、稲作で鉄粉を散布するだけで窒素固定は行われるか?の記事で記載していますが、田に錆びた鉄粉を散布することで窒素固定が行われます。
この窒素固定の量ですが、稲作で必要とされる窒素肥料の半分近くを賄うとされています。
上記をまとめますと、田に錆びた鉄を入れることで根腐れしにくくなり肥料が良く効くようになり、吸収した無機態窒素からアミノ酸に速やかに変換されたということが考えられます。
鉄パイプだと生育がまだらになるので、

使い捨てカイロの鉄粉を集めて散布したいのですが注意すべきことはありますか?という話題が挙がりました。
使い捨てカイロに関しては食塩が含まれているので、田に水を入れる前後あたりだと返答しています。
追記
錆びた鉄粉が良い理由は鉄欠乏の田ではどのような鉄資材を入れるべきか?の記事に記載があります。
補足
田に錆びた鉄粉を散布することでメタンの発生の抑制に繋がります
注意
今回の田に鉄パイプを放り込むのを試す時は、鉄パイプのメッキの成分を確認してから行うようにしましょう
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