
京都農販日誌
木酢液の効果について
2026/08/03

オンライン肥料教室で木酢液に関して化学的な解説が欲しいという要望を頂きましたので木酢液について調べてみました。
木酢液について木酢液・竹酢液Q&A | 日本木酢液協会から説明文を抜粋してみますと、木酢液は木材や竹等の植物原料を炭化して木炭や竹炭を製造する際に発生する煙の成分を冷却して得られた燻臭のする水溶液を指します。
成分が水分が90%、

酢酸が5%でフェノール類が5%で、微量成分としてアルコール類等の約200種類程含まれているそうです。
市販の木酢液のpHは1.5〜3.7の強酸の溶液になります。
木酢液、竹酢液の製法・規格等について | 関連法規等 | 日本木酢液協会
フェノール類ですが、各種市販および自家製木酢液・竹酢液の 主要成分と抗菌活性 - 環動昆 Vol.15 No.2 (2004)に拠りますと、

グアイアコールという化合物が主成分となるそうです。
先にグアイアコールの方ですが、[23]o-メトキシフェノール - 化学物質の環境リスク評価 第7巻に拠りますと、各種細菌、真菌に対して広範な殺菌力を持つとされているそうです。
次に酢酸の殺菌性についてですが、有機酸である酢酸がpHを下げることで殺菌性を示すという内容をよく見聞きしますが、それであればクエン酸やシュウ酸はどうか?という疑問が生じるかと思います。
小田原毅等 食品添加物による微生物の抑制 細菌汚染対策編 - 化学と生物 Vol. 61, No. 1, 2023を読むと、酢酸の化学的な構造も重要になってくるそうですが、難しい話になりますので今回は酢酸 = 強い殺菌性程度に留めておきます。
酢酸の殺菌性に関して、食品添加物の話題になりますが興味深い内容を見かけましたので紹介します。
合せ酢の殺菌効果 | 広島県に酢酸と他の調味料を混ぜた合わせ酢の殺菌性についての記載がありました。
栽培時の殺菌で対象にしたいのはカビ(糸状菌)になりますので、カビ類に対しての殺菌力の増強について見てみますと、

食酢とブドウ糖(砂糖でも良さそう)を合わせた甘酢にすると殺菌性が高まるそうです。
個人的な予想になりますが、食酢と砂糖の合わせ酢の場合、雑味のある黒糖の方が効果が出ると予想しています。
木酢液の主成分の酢酸について調べている時に興味深い研究報告を見かけました。
その報告というのが、共同発表:植物に酢酸を与えると乾燥に強くなるメカニズムを発見~遺伝子組み換え植物に頼らない干ばつ被害軽減に期待~になります。
イネやトウモロコシに酢酸を与えると耐乾性が向上したという報告になります。
試験内容はおそらく根から酢酸を与えていると思いますが、上記で触れました酢酸の浸透性を加味しますと、葉面散布でも同様のことが言える可能性があります。
耐乾性の向上ですが、ジャスモン酸というホルモンが関与していまして、酢酸によってジャスモン酸の合成が活性化したと見ることができます。
ジャスモン酸ですが、食害性昆虫への防御と天敵の誘引についての記事でジャスモン酸の合成によって食害性昆虫の天敵を誘引するという内容を記載しました。
上記の記事ではジャスモン酸により獲得した抵抗は糸状菌由来の病気と拮抗するということがありますが、病気というものは食害性昆虫によって傷付けられた穴から侵入して感染というパターンが多いので、食害を受ける前から定期的に木酢液や酢酸を散布しておくことで、病害虫の被害の予防に繋がると考えることができます。
予防の時で意識するのは、抵抗性に関わるものを合成する為に各種微量要素が必要になることです。
であれば、土作りをして適切に微量要素が効く環境を用意しておくか、木酢液の散布の前に微量要素剤の散布をしておく必要があると考えることができます。
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