京都農販日誌
緑肥を利用する前の注意事項をまとめました
2020/01/16
緑肥の相談を時々受けます。
畑を休ませる時にはどの緑肥が良いですか?が大半ですが、時々、緑肥のタネを撒いてみたけれども、思うように発芽しなかったり、状況があまり改善されないという連絡もあります。
緑肥の結果がよろしく無い畑では共通の問題点があり、この問題はこれから緑肥を活用することを検討している方でも重要になるのでこの機会に整理します。
※写真はイネ科の緑肥のエンバク
緑肥のタネを撒く前に、次作の土壌改良材として使用予定の肥料や堆肥を前倒しして緑肥を育てる為に施用すること
※緑肥の種類に関係なく、上記の内容はどの緑肥でも言えます
緑肥に求める効果といえば、
・有機物の補給
・排水性保水性の改善(団粒構造の促進)
・家畜糞等の連続使用によってよろしくない成分が溜まったものを抜く
・リン酸等の利用困難な成分を吸収しやすい形にする
といったものがあります。
どの効果にも共通して言えることとして、
作物栽培時と同様、緑肥も発根量が重要となります。
有機物の補給では、地上部を繁茂させる必要がありますが、発根がしっかりしていれば葉も茂り、鋤き込んだ際の有機物量が増します。
物理性の向上や余分な成分の吸収は発根量が多ければ効果が高いことは安易に想像できます。
ここで一点意識してほしいこととして、緑肥を使用したいと頭に浮かんだ時の畑の土の状況は十中八九秀品率が落ちていることが体感できた時です。
秀品率が落ちた原因として考えられるのが、土壌の劣化やよろしくない成分が溜まりすぎた時で、これらの状況は病原性微生物が活発になりやすい状態でもあるので、更に秀品率が下がり、農薬代等がかさんで経営が難しく感じている時です。
緑肥も作物同様植物なので、栽培の時のように緑肥も育ちやすい環境を用意してあげなければなりません。
特に家畜糞での栽培の連作の場合、家畜糞の中にある残留性の成分は発根を抑制するので、養分過剰だと思っていた土壌でも緑肥がうまく育ってくれません。
※家畜糞による連作障害の説明は下記の記事に記載があります
土壌の劣化は土壌の鉱物由来の微量要素も減っている状態であり、緑肥も当然微量要素を欲するので、緑肥の前に植物性の堆肥だけでは事足りません。
これらの話をまとめると、冒頭に記載した通り、土作り資材は前倒しして緑肥の栽培で使用することが大事であることはわかります。
緑肥の栽培時の追肥も緑肥の効果を高めることを貢献します。
緑肥前のオススメの肥料として、
物理性の改善を目的とした肥料でハイブリットORGがあります。
ハイブリットORGを推す理由を知りたい方は下記の記事をご覧ください。
土壌の劣化対策の微量要素の補給を目的とした肥料で地力薬師があります。
追肥用の肥料として黒糖肥料をオススメします。
黒糖肥料に豊富に含まれるアミノ酸によって緑肥の発根を助けます。
緑肥は最低でも3ヶ月近くと長い時間畑を占拠する事になるので、緑肥の育つ環境を快適にして、より効果を高めましょう。
-続く-
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