京都農販日誌
福岡県の宗像で施肥設計の前の土質の確認
2019/06/13
福岡の宗像(むなかた)という地域でこれから本格的に営農される方から、
肥料についての話と候補地の土壌を見て欲しいという連絡があり行ってきた。
候補地の土壌を見る前に既に栽培をしているところが赤土ですぐに締まるからどうすれば良いか?という話題が挙がった。
全国各地のほ場巡回の前に行っている情報収集で記載した通り、
実際の土に触れる前に確度を高める為に予想を立てることにしてみた。
赤土という言葉から二つのパターンを挙げてみる。
一つ目は古土壌と言われる赤黄色土。
土を使い倒して、土壌中に酸化鉄と水酸化アルミニウムの含有量が高くなりすぎた土が多い。
※栽培の話ではなく、地質時代の視点で使い倒した土
もう一つは安山岩質的の岩石が風化して良質な粘土鉱物になって土を形成したものだ。
出来れば後者の土壌であって欲しいと思いながら地域の土質と地質を確認してみる。
何故後者が良いのか?と言えば、赤黄色土と比較して、これからの土なので粘土鉱物に限らず、ミネラル分も豊富だろう。
先に土質から見てみると、
全体的に水田多め(青っぽい色)の土地で所々有機物多めの土(緑色)が点在している地域で、
※土質の確認は日本土壌インベントリー - 農研機構を活用
所々に懸念している赤黄色土がある。
続いて地質を確認してみる。
※20万分の1日本シームレス地質図 - 国立研究開発法人産業技術総合研究所を活用
地域に点在する山の地質が中心は粘性の高い花崗岩(ピンク)が多めだけれども、
花崗岩を囲うように安山岩質的な火山岩(矢印で示した二番目に濃い緑)で構成されている。
土質と重ね合わせると、
安山岩質的な火山岩の周辺に赤黄色土のエリアは少ない。
冒頭で話題に挙がった赤土で締まりやすい土の土質は二つの候補の後者の良質な粘土鉱物で形成された土の可能性が高くなった。
これらの予想を踏まえて実際の畑に行ってみた。
赤土の個所は濃い青のグライ土だ。
山から流れてきた目の細かい粘土が堆積した(または客土した)土になる。
上流にある山は安山岩質的な火山岩から花崗岩になっている。
これらの情報を頭に入れながら実際の土と対面する。
話題に挙がった通り締まりやすい土ではありそうだけれども、
扱い方次第で肥料持ちが良くなりそうな土だった。
注意深く基肥を設計すれば大化けしそうな予感すら感じられた。
宗像という地域で新たなパターンの知見を得ることができた。
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