京都農販日誌
ひび割れしている畑ではバークの施用時に必ず地力薬師を併用してください
2020/03/07
佐賀県の方から写真と一緒に下記の質問がありました。
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ほ場が、しまった感じです。バークを投入しようと思いますが、一緒に地力薬師も投入した方が。よろしいでしょうか?因みに、水持ちはいい畑です。バーク投入は一回の量を増やして様子を見るのがよろしいですか?それとも、定量を毎作入れた方がよろしいですか?
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結論から書きますと、
上の写真の畑であればバーク堆肥を施用する場合は必ず地力薬師も一緒に施用してください。
晴れの日が続いた時にひび割れが発生することが改善されない場合はバークと粘土鉱物の量の様子を見ずに必ず定量入れるようにしてください。
理由は2つ程ありますが、その前に地力薬師について触れておきます。
地力薬師は2:1型粘土鉱物のモンモリロナイトを主成分とした粘土鉱物肥料で主な効果としては、
粘土鉱物が有機物を含む様々なものと吸着して、
土壌粒子をまとめて、フカフカの土にして土壌の物理性を改善します。
物理性が改善すると、過剰な肥料成分が一箇所に溜まって作物の根に悪影響を与えることが減ります。
過剰な肥料成分が溜まることによる悪影響は下記の記事に詳しい記載があります。
もう一点は、
地力薬師の成分にあるとおり、カリやその他微量要素といった鉱物が風化した時に供給される肥料成分が含まれています。
微量要素が不足していると、虫や病気に弱くなります。
これらを踏まえた上で、再び土の写真を見てみます。
晴れの日が数日続いた時に土の表面にひびが入るのは、土に腐植を含む有機物が足りない証拠です。有機物が足りていない状態では、秀品率の向上が見込めない他、微量要素を含む土壌の鉱物が壊れやすい状態にもなっていて、微量要素が無駄に容脱しやすい状況になっています。
水持ちが良いとのことですが、水持ちが本当に良ければひび割れは発生しません。ところどころが乾燥気味になっているのでひびが割れるわけで、作物にとって、あるところでは水を含み、あるところでは水を含まないというバランスの悪い状態になっていて、よく育つところと全然育たないところといった経営上よろしくない状態になっています。
バークでひび割れを発生しにくくして、バランスの良い環境作りを狙いつつ、粘土鉱物でバークの効果を高めつつ、微量要素の貯金という意味合いでひび割れが改善するまで毎作入れ続けることが良いということになります。
バークについては下記の記事で整理していますので、これからバークの選定をする場合は下記の記事をご覧ください。
余談
質問を頂いた方の土質を調べると、
※質問者の畑ではなく、質問者が栽培している地域で特徴的な土質の畑にピンを置いています。
風化変質赤黄色土という分類になっています。
これはあくまでも参考として使えるイメージになりますが、赤黄色土というのは古い土壌というイメージが強く、どちらかというと鉱物由来の肥料成分を使い切ったであるとか、粘土が多くなったという特徴があるそうです。
粘土が多いのであれば粘土鉱物肥料の地力薬師は不要ではないか?という疑問が生じますが、赤黄色土で溜まっている粘土は、粘土鉱物も消耗していて、栽培にとって不利な粘土鉱物の形になっていて、水が溜まりやすい割に有機物が溜まりにくいという栽培にとって非常に厄介な状態と言えます。
上記の内容の詳しい説明は下記の記事に記載しています。
自身の畑が赤黄色土でなかったとしても、周辺の土質が赤黄色土であれば、自身の畑の土も赤黄色土に似たような特徴がある可能性が高いので、土質図を見て、すぐ近くに赤黄色土に分類されている土があったら、この地域は過酷な栽培条件なんだと意識して栽培する必要があります。
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