京都農販日誌

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猛暑日対策

2022/05/30

例年の極端な気候変動と温暖化により夏の猛暑日が増え、栽培に大きな影響を与えています。

この猛暑日の増加に対して何らかの対策をしたいという相談を頻繁に受けるようになりましたので、内容を整理してみます。



猛暑日に対しては、作物自身の葉からの蒸散量を増やすことを意識する必要があります。



植物は根から吸収した水を葉に移行させ、葉の気孔から水を蒸散させる際に体内の熱を外に逃がすことを行います。


それであれば、発根量が多く土に常に水がある状態であれば、葉から定期的に熱を逃し、猛暑日であっても比較的に萎れずに済むことになります。

発根量を多くするためには土の排水性を高め、常に土に酸素が行き渡りつつ、ガスの発生を抑える、もしくはガスが発生してもすぐに土に外に放出されるようにしておく必要があり、常に水がある状態は保水性を高める必要があり、どちらも腐植が土に馴染むことで実現することができます。

腐植質の肥料で土作りを行うことに関しては、ひび割れしている畑ではバークの施用時に必ず地力薬師を併用してくださいをご覧ください。




続いて、光合成の質を高めることを考えます。

猛暑日の光合成で注意する点としましては、大きく分けて葉周辺の湿度と紫外線対策があります。



前者の葉周辺の湿度の話題は、光合成は気温の上昇とともに光合成速度が増しますが、30℃を超えた辺りから低下します。



定期的なスプリンクラで周辺の温度を下げつつ湿度を上げると温度による光合成速度の上限が高くなり、蒸散量も増やすことができます。



通路で緑肥を育てることで、緑肥からの葉で周辺の湿度を高める事ができ、畑全体で光合成速度を低下させないという手もあります。


後者の紫外線対策は、葉表面のツヤ(クチクラ層)の形成により、紫外線フィルタのようなものが形成されますので、定期的な微量要素剤等の葉面散布を行うことをオススメします。




最近の研究で、トマトの葉で、周辺の草の葉が損傷した際に放出される緑の香りを吸収すると、葉の蒸散量が増したという報告があります。

日本バイオスティミュラント協議会 第3回講演会「温暖化による農作物への影響とその対策」 レポート (後編) | カルチべ取材班 現場参上 | カルチベ – 農耕と園藝ONLINE


緑の香り周辺の作用機構が他の作物にもあるとし、上記の話の応用を考えると、



通路を覆っている緑肥を定期的に刈り倒すことによって、緑肥の葉から緑の香りを放出することができ、作物の葉の方の蒸散量を高める事ができます。

除草剤に使用していた費用を高性能な草刈り機に回すことで土を向上させつつ、秀品率を高めることに繋がります。


除草剤を利用せずたくさんの草の根が畑にある状態にすると、作物にとって良い菌が増える傾向にあるらしく、それらの菌によって作物が猛暑日に強くなる傾向もあります。


気候変動により栽培の難易度が年々高まりつつあります。

今一度、栽培方法の見直しを行う機会であるのかもしれません。

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