京都農販日誌
パームカリの使いどころ
2022/12/22
パームカリは栽培のどの時期に使用すれば効果的なのか?という話題が挙がりましたので整理してみます。
パームカリはアブラヤシの実から油を採油した殻を燃焼した燃焼灰肥料になります。
パームカリの成分量を見ますと、
- く溶性リン酸:2.0
- く溶性カリ:30.0
- 内水溶性カリ:25.0
- く溶性苦土:3.0
※単位は%
のようにカリ多めの構成になっています。
く溶性カリが多いので、肥料としての用途は
土壌改良材を投入してCEC等の値は改善しているがカリウムの値が改善されないような土壌の基肥としての使用が向いている事がわかります。
水溶性カリも含んでいますので、追肥としての利用も効果があり、く溶性カリは次作の貯金のように貯めておく事が出来ます。
基肥として施肥する場合、カリ以外で土にどのような影響を与えるのか?を把握しておきたいので、今回の記事ではもう少しパームカリのことを掘り下げることにします。
水熱処理によるパーム核殻(PKS)からのカリウム除去メカニズム - 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会 講演原稿2019にパーム殻の処理に関する興味深い話題がありました。
上記の報告では実由来のパーム殻ではなく、種由来のパーム核殻になりますが、どちらも単子葉木本のヤシの器官になりますので殻の成分は同様だと仮定して話を進めます。
パーム核殻を高温処理をするとカリウムがシリカ(ケイ酸)と反応してスラグ化します。
上記の報告から判断すると、スラグにはKCl(塩化カリウム)、K2SO4(硫酸カリウム)とアルミケイ酸カリウムが存在すると考えられます。
※酸化カリウム(K2O)が含まれている可能性もあります。
塩化カリウムと硫酸カリウムは水溶性カリで、アルミケイ酸カリウムはく溶性カリに分類されます。
保肥力を向上させる堆肥と一緒にパームカリを施肥し、水溶性のカリウムは堆肥の持つ保肥力に吸着させて、アルミケイ酸カリウムは栽培中盤以降のカリウムとして利用します。