京都農販日誌

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ホタルイ等の水田雑草の防除について

2024/11/07


水田をされている方からホタルイ(実際はイヌホタルイ)の対策について質問されました。

イヌホタルイ - 日本雑草学会


先に結論から書きますと、物理性の改善(土作り)をして、イネがホタルイよりも優勢になれば、ホタルイは自然と消えていくはずと返答しています。

なぜ、このような返答をしたか?を順を追って記載します。




Charlesy - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる


イネの根からモミラクトンというアレロパシー物質が分泌されています。

※質問者の栽培品種のヒノヒカリはモミラクトンの合成が少ない品種とされています。

加藤尚 イネの根からのアレロパシー物質モミラクトンの分泌 - 根の研究(Root Research)25 (1):5-13(2016)


このモミラクトンは籾からも発見されており、米ぬか等にも含まれているとされています。

このモミラクトンに関しての研究報告を紹介します。


杉本秀樹等 クラゲチップと米ぬかの肥料効果と抑草効果を利用した水稲栽培 - 日作紀(Jpn. J. Crop Sci.)88(4):246―252(2019)ではクラゲチップと米ぬかの肥料効果と抑草効果についての研究報告が記載されていまして、クラゲチップが主になりますが、米ぬか単体の試験もされています。


米ぬか単体でもホタルイを含む水田雑草の生育の抑制の報告があり、イネのアレロパシーがホタルイの生育を抑える可能性があることを示唆します。

※イネからモミラクトンの他にも数十種類のアレロパシー物質が発見されています。




上記の内容を踏まえた上で、物理性の改善によるホタルイの防除についての話題に戻ります。

アレロパシー活性(分泌量)を高める為には、イネの根の成長を旺盛にさせる必要があります。


栽培者が作物に対して、最も手軽に根の旺盛を誘導できる手段が物理性の改善(土作り)になります。


観測対象が少なくて断言はできませんが、



水田の物理性の向上に取り組んだ田(中干し無し)で比較的早くにホタルイが姿を消し、後に除草作業が0回になる程水田雑草の発芽が減りました。

※上記の田の品種はヒノヒカリ

年々増える猛暑日対策として、中干し無しの稲作に注目しています



一方、水田でホタルイの旺盛が目立っているのは収穫後にわらを焼く習慣のある田が多い傾向にありました。

わらを焼くことにより、わら以外の土表面にある有機物や有用な土壌鉱物も消失し、後の栽培に影響します。


ホタルイ等の水田雑草が旺盛になると、イネが弱体化し、病気にかかりやすくなったり、食害性昆虫が集まり、収量に悪影響を与えます。

除草剤を検討する前に、イネの発根量の増加に目を向けてみる事が良いかもしれません。

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