お役立ち農業辞書
有機物とC/N比(炭素率)について
堆肥などの有機物を圃場に入れる際,C/N比(炭素率)に気を付けなくてはならないとよく言われます。
C/N比(炭素窒素比)は文字どおり,ある有機物の中にC(炭素)とN(窒素)がどれだけ含まれているか,
その比率(質量比)のことです。
例えば,ある有機物の中にC(炭素)が1000mg,N(窒素)が100mg含まれていれば,
この有機物のC/N比(炭素率)は「10」となります。
堆肥の保証標には下図のように,C/N比(炭素率)が載っているものが多いです。
有機物を圃場に入れると,微生物が分解しはじめますが,C/N比(炭素率)が低ければ分解されやすく,
高ければ分解されにくくなります。
有機物が微生物によって分解されると,有機物が無機化され植物が吸収できる形になります。
しかし,有機物中の窒素が炭素に比べて少ない(C/N比20~30以上)場合,
作物に必要な窒素も微生物に使われ,いわゆる「窒素飢餓」を起こしてしまうことがあります。
ですので,有機物を施用する場合,
肥効を期待するのであればC/N比が10以下のもの,
時間をかけて土作りをするのであれば,C/N比が20~30以上のものを,
すぐに植え付けする必要があり,しかも土壌の物理性・化学性・生物性の改善もしたい
のであれば,C/N比が10~20のものを,
と目的に合わせて選択するとよいのではないでしょうか。