お役立ち農業辞書
土壌生物による連作障害
作物の連作障害の要因には,
・土壌動物(線虫)や土壌微生物によるもの
・残留肥料の影響によるもの
・作物自身が放出した物質によるもの
等々がありますが,今回は土壌動物(線虫)由来の連作障害について記そうと思います。
引用:http://ja.wikipedia.org/wiki/線虫
線虫はミミズを小さくしたような線形動物で,作物の根を傷つけたり寄生して養分を吸ったりするものがいます。
根を傷つけられると,そこから病原微生物が侵入して病気になったり,寄生されて養分を吸われると生育が悪くなったりすることがあります。
結果,作物の品質や収量が落ちることになります。
では,土壌生物による連作障害はどのような過程を経て起こるのでしょうか。
キタネグサレセンチュウというネギの根の周辺で増殖する線虫がいます。
ネギの栽培期間中に増え,ネギの収量に影響を与えます。
ネギを収穫して,根を取り除いても,休眠して残ります。
作付の際,線虫の個体数が少ない畑(下図左)では,収穫まで線虫の被害は無視できるほどですが,
前作で個体数の増えた畑(下図右)では,線虫の被害は無視できず,収穫まで至らない可能性もあります。
このように連続で同じ作物を育てると,次の作付で作物に寄生する線虫が多い状態で栽培を開始することになります。
また,線虫の寄生に合わせて悪さをする病原微生物の感染率も上がります。その病原微生物がコロニー状態であれば被害は甚大となります。
そうなると,前作の収量は確実に見込めません。連作は極力避けるべきでしょう。