京都農販日誌
硝酸石灰は元肥で有効ですか?という質問に対して2
2020/02/17
硝酸石灰は元肥で有効ですか?という質問に対しての記事で、硝酸石灰が元肥で有効か?という質問に対して、元肥には向いていないと記載しました。
元肥に向いていない理由は2つあり、前回の記事では硝酸石灰(硝酸塩)が水溶性で、水溶性の肥料は追肥で効果を発揮するという内容を記載しました。
今回はもう一つの理由である石灰についての説明になります。
土壌分析の結果を見ると、大半の土壌で石灰の値が大きい結果になっています。石灰というのは様々な肥料に入っていて、石灰のイメージとは程遠い
廃菌床堆肥のマッシュORGや
※キノコ栽培の培地に有機石灰を入れるため
粘土鉱物肥料の中にも若干含まれています。
有機配合肥料にも石灰が含まれることが多く、知らぬ内に土にたくさん入ってしまうものが石灰になります。
石灰が過剰になると、他の肥料成分の吸収を阻害するという問題があり、
土壌分析でたとえ苦土が適正値であったとしても、石灰が過剰であれば、苦土の吸収を阻害し、秀品率に悪影響を与えます。
石灰過剰によって光合成に関与する苦土(マグネシウム)や根肥であるカリの吸収が落ちることで根から水や肥料の吸収が落ち、吸収低下によって石灰の吸収が落ちるという悪循環が発生します。
所謂石灰過剰による連作障害です。
ここで一つ補足ですが、石灰自体は必要な要素になるので、元肥は他の肥料に含まれている石灰分で栽培を開始し、追肥で補うというイメージを持つと良いです。
栽培技術が高い地域では栽培開始前のpH調整でも石灰を入れません。
それでは栽培開始前のpHは何で行うのか?というと、
生理的塩基性肥料のく溶性苦土を利用したり、
土作りでpHを変動させない緩衝性の向上でそもそもpH調整を行わないということを行います。
※pH調整の石灰の施用を止めれば、廃菌床堆肥内の石灰分は許容範囲内です。
詳しい内容は下記の記事に記載があります。
硝酸石灰は、硝酸と石灰のどちらも元肥で使用すると作物の根にストレスを与える要素なので、元肥という大量に与えるタイミングでは慎重に使用したい肥料になります。
追記
硝酸石灰は低温時でも即効性がある窒素肥料になります。冬に向けて寒くなっていく中で肥料を効かせたい場合に効果的な肥料になります。