京都農販日誌
アザミウマの対策を考える
2020/04/06
毎年春から夏に向けて、アザミウマで困っているという話をよく聞きます。
一昨年、緑肥を採用してアザミウマの被害が減ったという報告があったり、虫による食害防止の知見が集まってきましたので、整理して紹介します。
はじめに緑肥を採用した時の話を紹介すると、
ネギ畑の通路にマルチムギという緑肥を育てたところ、アザミウマの被害が減ったということがありました。
詳しくは緑肥の可能性を探るの記事に記載がありますが、マルチムギがネギよりもはやくに深く発根して、ネギの根が肥料分の濃いところに到達する前に根を張り巡らせて、酸素を行き渡らせたり、高濃度の肥料分を緩和したということが考えられます。
他にマルチムギの群生にアザミウマの天敵が増えて、アザミウマ自体の個体数が減ったという可能性も考えられます。
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最近増えた知見として、緑肥との混作は様々な種類の根が張り巡るわけで、菌根菌といった作物を丈夫にするような共生菌が増えた可能性もあります。
菌根菌が増える事によって、土壌中の微量要素の吸収効率が増し、虫や病気になりにくくなると言われています。
今回紹介した話に対して、マルチムギのタネを播けない時期はどうしたら良いか?という内容の質問がありました。
例えば、秋から翌年の春まで栽培されるタマネギあたりです。
先程の夏場のネギの実績を改めて確認してみると、
あまり背丈が高くなく、こぼれ種で翌年以降の栽培に悪影響を与えない緑肥は何か?と考えてみたところ、
越冬性の赤クローバあたりが頭に浮かびました。
クローバの中でも赤クローバは直立性で横にあまり広がらず、背丈は高くても50cmぐらいでマルチムギより若干高いぐらい。
更にクローバの根は集菌能力が高いと言われており、連作で劣化した土壌に対して良い効果をもたらす可能性もあります。
ここで一点程注意事項がありまして、
ネギ科(旧ユリ科)とマメ科の草は相性が悪いという話があります。
ネギの根から分泌される物質がマメ科周辺の根粒菌に悪影響を与えることが理由でして、タマネギ栽培での通路の赤クローバの緑肥はこれから検証していく必要があります。
他にマルチムギと同じエンバクを育ててみるという案もあります。
エンバクは冬に強くどちらかという粘土質土壌を得意としたイネ科の緑肥になりますが、初春に急速に伸びる傾向がありまして、初春以降のタマネギの栽培にどこまで影響を与えるか?を意識しておくことが大事になります。
※砂地であればライムギが適しています。
緑肥を栽培する場合は事前に下記の記事を一読することをオススメします。