京都農販日誌
ヨトウ対策としての落葉広葉樹の落ち葉で土作り
2023/09/06
ヨトウムシの幼虫やネキリムシといったチョウ目の昆虫の幼虫の被害がひどくて困っているという方と話をした時に面白い方法で回避した方を思い出しましたので、今回はその内容を紹介します。
ハウス栽培をされている方がたまたま落ち葉が大量に手に入ったので、土作りの一環として投入してみたら、数カ月後に
畝間の通路に上の写真のようなキノコがたくさん生え、ヨトウの被害が軽減されたそうです。
このキノコは冬虫夏草といって、土中にいる昆虫に寄生する糸状菌の総称です。
上の写真はサナギダケといいまして、チョウ目の幼虫に寄生して、蛹から生えてきます。
通路から相当の数のサナギダケが生えてきたということですので、相当の数のヨトウが弱体化の後死亡したことになります。
今回の話を読んで、都合良くサナギダケで防除出来るのか?という疑問が生じると思います。
この手の話はどれだけ深くサナギダケについて知ることができたか?が活用の鍵になりますので、サナギダケの胞子が普段はどこらへんにいるのか?から調べてみます。
佐々木史 冬虫夏草菌株の収集とその生態 富山県農林水産総合技術 センター森林研究所 研究レポート No.15 December. 2016に拠りますと、冬虫夏草の菌の多くは森林内に生息していて、木々の葉面、または内部に生息しているそうです。
落葉した葉や土壌中にも生息していて、落ち葉等を分解しながら生活している可能性があると考えられています。
これらの内容から落葉樹の落ち葉を集めて、畑に投入した場合、冬虫夏草の菌も一緒にやってくる可能性は十分ありえます。
これらの内容を踏まえ、都合良く落ち葉なんて集められるわけがないと思うことがあるかもしれません。
地域の清掃で収集された落ち葉が活用されずに焼却されているということが多い現状で、地域資源を順に活用するという発想があれば、実現可能になるかもしれません。
※落ち葉投入の翌年以降は通常の堆肥の投入で環境を維持する
ヨトウ等の幼虫は殺虫剤の耐性を持ちやすいと言われ、比較的早くに殺虫剤が無効化してしまいます。
焼却されるであろう地域資源の活用は殺虫剤の使用の削減と、二酸化炭素の排出源である有機物の埋没に繋がり、年々厳しくなる猛暑日に対して微々たるものですが緩和に繋がるはずです。
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