京都農販日誌
地質図から訪れたことのない遠方の土質を予想する2
2024/08/24
今回は地質図から訪れたことのない遠方の土質を予想する1の続きになります。
前に山形県北部の真室川町に行くことがあり、事前調査を行った時のことです。
地質を調べますと、段丘堆積物と表記されていました。
前回の内容と照らし合わせると段丘堆積物に該当する母岩はありません。
そこで再び土壌の基礎知識Ⅰ - 農林水産省から土壌の生成の内容を確認します。
前回の内容では土壌は母岩が風化して生物の作用を経て形成されると記載しましたが、もう少し丁寧に見ると、山地にある母岩が風化して土砂として低地に移動し生物の作用を受けながら堆積すると記載されています。
この内容を参考にするならば、真室川町の土を調べる上で確認する地点は
真室川上流や
下流で真室川と合流するらしい金山川の上流辺りが該当します。
指定した箇所の地質を確認しますと、どちらも安山岩・玄武岩質安山岩 溶岩・火砕岩に分類され、
図:火山と火成岩 - センサー地学 - 新興出版社啓林館より引用
火成岩の分類の表を使用出来るようになります。
真室川町に堆積した土は玄武岩と安山岩の中間辺りを見れば良く、玄武岩よりも輝石少なめで角閃石多めになります。
玄武岩を母岩とした土壌程ではありませんが、こちらの土壌も腐植を蓄積する傾向がありまして、
黒っぽい土であることが予想できます。
実際に土壌図の方で土質を調べてみますと、予想通り、黒ボク土の畑が多数分布している地域でした。
今回のように地質を調べたら堆積地であった場合、常に上流域の山の地質を参考にすると良からぬ判断をしてしまう恐れがあります。
そこで地質調査報告書のようなものに目を通せば良いでしょうが、専門外であるため報告書を読み誤る恐れがあります。
そこで足がかりとして、本屋で旅行関係のコーナーでよく見かける地域ごとのガイドブックを読むことにしています。
昭文社から出版されています地域ごとのトリセツの本を重宝しています。
これから訪れるであろう地域の地質的な成り立ちの他、その地域の気候や歴史等の教養も記載されていますので、実際にその地域を訪れた際に栽培関係以上の知見と出会える可能性が増します。
これらの本で得られた知見を元に検索をして、目的地の地質調査の結果を探して読み始めます。