
京都農販日誌
土壌改良と植生の変化
2025/03/18
畑の草で作土層の深さを予想するの記事に引き続き、畑にいる様々な草から土の状態の判断について触れます。
堆肥等をふんだんに投入して土壌の物理性を改善した方であれば感じたことがあるかと思いますが、栽培がし易くなるに従って、植生が変化していくことを実感することがあります。
使い倒して土が固くなった圃場で物理性と化学性の改善を行いますと
最初は単子葉植物のカヤツリグサ、双子葉植物のギシギシ(タデ)やシダのスギナ(ツクシ)のような草や手で除草が難しい草が繁茂していますが、
徐々にナズナ、ハコベやホトケノザが目立ってきます。
今まで様々な圃場を見てきましたが、不思議な事に何処の圃場でも上記で挙げたような草ばかりになります。
※ずっと畑作の圃場でも同様の植生の遷移になります。
この内容に関しまして、有機農業参入促進協議会が作成しています有機農業をはじめよう!土作り編という本に興味深い内容がありましたので紹介します。
上記の本の12ページおおよその土壌酸度と雑草の種類(一例)という内容がありまして、下記のような内容になっています。
強酸性:シロクローバ、スギナ、イヌタデ、スズメノテッポウ、イヌビエ
弱酸性:カタバミ、アカザ、ギシギシ、カヤツリグサ、オオバコ
微酸性:レンゲソウ、ナズナ、ミミナグサ、ザクロソウ、スズメノカタビラ
中性:ハコベ、オオイヌノフグリ、ヤエムグラ、ホトケノザ、ノミノツヅリ
広範囲:クズ、ハハコグサ、ヨモギ、メヒシバ、ススキ
この内容を見ますと、物理性と化学性を改善していきますと、強酸性の植生から微酸性(中性も含む)の植生に変化していく事がわかります。
粘土鉱物と腐植の組み合わせで土壌改良を行いますと、化学性の緩衝性(pHが変動しにくくなる)が向上しまして、中性域の植物種が有利になることはイメージしやすいです。
ただ、化学性の緩衝性は炭酸塩の肥料の施肥(有機石灰、苦土石灰や炭酸苦土)でも向上しまして、緩衝性は腐植の定着か炭酸塩の肥料の施肥のどちらに因るものか?を判断する為に植物自身を見ていく必要があります。
腐植の定着により物理性と化学性が向上した場合、手で草を抜くと、根が切れずに綺麗に抜けるようになります。
このような環境では各々の草は深く根付く事ができるようになっており、それに合わせて地上部の背丈も高くなっています。
土壌改良の成果を周辺の草から判断する場合、
- ・微酸性〜中性域を好む草が優先的に生え始めたか?
- ・それらの草の背丈が年々高くなっているか?
の順で判断しますと、草から得られる情報が増えていきます。