
京都農販日誌
キレート作用について
2026/02/24
液肥の肥効をより深く理解したいという話題になりまして、キレート作用についての説明をする機会がありました。
キレート作用に関与するキレート剤は液肥の他にも栽培のいろんな局面で話題に挙がりますので整理してみます。
キレート作用であるキレート結合という化学結合は配位結合という結合法によるものですが、配位結合について整理するのは大変な為、重要ではありますが今回は触れません。
キレート剤と呼ばれる化合物がMg、Ca等の二価のアルカリ土類金属、FeやCu等の価数が状況によって変わる遷移金属をカニバサミして捉えておくというイメージで話を進めます。
カニバサミとは何か?をイメージできるようにするためには実際のキレート剤と、金属との結合方法を見た方が早いので、形を見ながら話を進めます。
天然によくあるキレート作用を持つ化合物で有名なのが、

クエン酸になります。
注目すべき点は、

カルボキシ基と呼ばれる箇所が何個あるか?になりまして、この箇所が多い程、金属を捉える能力が高いとされます。
よくこの箇所を手の数のように表現されることが多く、クエン酸の手の数は 3 になります。
※手の数を座数と呼び、手自体を配位子と呼び、クエン酸は三座配位子(例外あり※)になります。
※化学式の中央下の-OHも手になる可能性があり、四座配位子と捉えることもあるそうです。
次にクエン酸がキレート剤として金属に対してどのように働くか見ていきます。
分かりやすい方法がありまして、キレート剤名と鉄等の金属名で検索をしてみると、クエン酸鉄(III) technical grade | Sigma-Aldrichのような試薬のページに結合されたものが記載されている事があります。
この場では図を掲載しませんが、カルボキシ基の酸素(O)が鉄を摘むように結合しています。
※2つのクエン酸が金属を囲うようなキレート結合もあります。
次の例を見てみます。

施設栽培でよく見聞きするEDTA(エチレンジアミン四酢酸)になります。
先程のルールに従って座数を数えてみますと、カルボキシ基が 4 個ありますので四座配位子のキレート剤と思いたくなりますが、実は窒素のNにもキレート結合できる要素がありまして、

※赤文字のMは金属を表していまして、鉄や亜鉛等が入ります
EDTAの手の数は 6 になります。
注意が必要なのは、窒素がいつも手になれるわけではありません。
一例としまして、

アミノ酸のグリシンがあります。
左側のアミノ基(-NH2)の箇所も手として数える事ができ、グリシンは手の数が 2 の二座配位子になります。
ここで余談になりますが、アミノ酸にもキレート結合の強弱があるそうで、

ヒスチジンの環状になっている箇所のNのどちらかが手になり、手の数が 3 の三座配位子になります。
キレートで忘れてはいけないのが、ポリフェノールやタンニンです。

果菜類の青枯病の消毒の為のフェントン反応として話題に挙がりますポリフェノールのコーヒー酸の

※図:ポリフェノールの科学|朝倉書店 34ページより引用
の箇所が手になります。
キレート剤の話題の時に、

ギ酸はキレート剤になりますか?という質問がありましたが、ギ酸は手となるカルボキシ基を一つしかもたず、キレート剤の条件に手は2本以上というものがあるので、ギ酸はキレート剤になりません。
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