京都農販日誌
新しく畑を借りた時に意識すべきこと
2022/10/13
「新しく畑を借りました」という方から、「この後何をすれば良いですか?」と相談を受けることが多々あります。
尾野農園様勉強会詳細の記事で記載したように地質や土質を見たり、前作の栽培履歴を確認して施肥設計を決めますが、その前に注意しなければならないことがありますので今回は注意点を紹介します。
新しく畑を借りる時、前の栽培者が畑の管理に手が回らなくなることで栽培を辞めることが思いの外多いです。
世間では栽培者の高齢化により耕作面積が少なくなっているという情報が多いですが、
実際に畑に行ってみると、無茶な栽培をして土を酷使し、肥料や農薬にかかる費用や管理コストが年々増えているのに収量が減っていることで畑を手放したという所を多く見かけます。
栽培は土の状態が良いと「土が仕事をしてくれる」という状態になり、畑の管理コストが大幅に削減します。
酷使しなければ管理出来たところを、土の劣化によって管理コストの割に収穫できなくなった畑がたくさんあります。
上記のような状態により手放された畑を借りて、今までの感覚で栽培を始めると、想定外の作業ロスが発生して利益率が低下します。
管理コストが上がってしまった畑の土の特徴を整理すると
・リン酸過剰により作物の病気が頻繁に発生する
・カルシウム過剰で他の金属系の要素が吸収できなくなる
・今までの栽培で有機物の投入が少なく、物理性が低く土が締り発根が不調になる
・(主にハウスで)高ECで塩類集積を起こしている
等があります。
上記のような状況で無理やり栽培を始めても、肥料にかけた費用に対して収量が低くなるのは自明ですので、出来ることならば借りてすぐに栽培を始めるのは止めた方が良いです。
栽培をする代わりに、
粗めの腐植質の堆肥を施した後で、
リン酸をよく吸収しつつ、根が強い緑肥を栽培した方が良いです。
できれば夏季の大きな緑肥が育つ時期にしっかりと緑肥を育てておいた方が後の栽培が楽になります。
緑肥をしっかりと育てて、花が咲く前に鋤き込んで土の物理性を改善させたところで始めて土台に立てたという認識にしておくと良いでしょう。
緑肥の栽培に関してはクリーニングクロップとして緑肥を育てた時に土に鋤き込んでも良いですか?の記事の一読をおすすめします。