京都農販日誌

沖縄の土の土壌改良を考える前に

2023/04/14

営業顧問として関与して頂いているファームプロの竹内から沖縄で栽培している方が困っているから一緒に解決して欲しいとのことで、沖縄の土を見ることになりました。

沖縄の土を実際に見る前に、沖縄の土についてを整理していきます。

沖縄は日本の南西に位置し、湿潤亜熱帯気候で冬でも暖かい地域になります。

熱帯と亜熱帯の気候の土壌改良は下記の三点で難しいとされています。

※土壌粒子が風化するというのは、有機物の蓄積能が高い粘土鉱物(モンモリロナイト等)が蓄積能が低い粘土鉱物(カオリナイト等)に変成する事を指します。

土壌粒子が風化しやすいというのは鉱物由来の肥料がすぐに消失し、追い打ちをかけるように降雨で畑から土が流出することで更に肥料成分がなくなります。

このような条件の中で、沖縄では土壌改良ができるのか？

それとも、土壌改良は諦めて、沖縄の土質や気候に適した作物のみを栽培していくのが良いのか？

上記の内容を判断する為に、もう少し沖縄の土の詳細を整理します。

沖縄の土を考える上で大事になる事としまして、沖縄本島が沖縄トラフの影響で隆起した島であるということが大事になります。

隆起した土地では、海底火山跡、隆起前に堆積した砂岩泥岩やサンゴ等の生物由来の石灰岩が母岩となり、土壌が形成され、沖縄本島もそれに当てはまります。

沖縄の土は大きく4種類の分類され、

本島の北部の高島に多く分布する国頭(くにがみ)マージ(上の図のピンク)、

島の縁の分布市ている島尻マージ(上の図の黄色)、

本島の南部の低島に多く分布するジャーガル(上の図の緑)と

その他の土壌で沖縄土壌(上の図の水色)があります。

沖縄の土で大変興味深いのが、北部の高島と南部の低島で母岩となる岩石の特徴が大きく異なり、各々の土は母岩の影響を大きく受け、北部で育つが南部ではまったく育たない作物があります。

国頭マージの一部に暗赤色土がありまして、島尻マージ由来の暗赤色土と見分けがつかない箇所があります。

国頭マージの土性は酸性で、島尻マージの土性は弱アルカリ性となっています。

※国頭マージの大半は薄い赤色(赤黄色土)をしていますが、一部の濃い赤色の土(暗赤色土)があります。

国頭マージの地域の暗赤色土は、

緑色片岩が風化して形成された土で、苦鉄質(※マグネシウムと鉄多めで、カルシウム少なめ)の土質になります。

一方、島尻マージの地域の暗赤色土は、

琉球石灰岩が風化して形成された土で、カルシウム多めの土質になり、暗赤色土と言え、特徴が大きく異なります。

※一般的な国頭マージは砂岩泥岩由来の薄い赤土であるそうです。

上記で紹介した土周辺のジャーガルや沖縄土壌は緑色片岩や石灰岩の影響を受ける事になります。

ここで一つ疑問になることが、緑色片岩と言えば、主の鉱物の一つに緑泥石があり、緑肥を活用して、土壌の物理性の向上を早めるの記事で記載した通り、土壌で有機物を蓄積する時に役立つ鉱物になります。

であれば、冒頭で沖縄では気候と土壌微生物の条件で土に有機物が蓄積しにくいと記載しましたが、一部の地域では有機物が蓄積しやすいのでは？と疑問が生じましたので、緑色片岩を見に行く事にしました。

高島の山原(ヤンバル)の大宣味村(おおぎみそん)の地元の方に「緑色の石はどこにありますか？」と訪ねたところ、川に行けばいくらでも見つかるという事を聞きましたので、海側から川に沿って少しだけ上流に向かってみました。

地元の方がおっしゃる通り、川にはたくさんの緑色片岩が落ちていました。

川から少し離れ、

※周辺に畑が多数有り

緑色片岩が露出している露頭を見かけ、下の土を確認してみました。

他地域で見られるように緑色片岩の露頭の下には腐植がふんだんに蓄積されたような土がありました。

やりようによっては沖縄の気候や土質でも有機物を蓄積できるかもしれません。

時間の都合上、他の母岩ではどうなのか？の確認が出来なかった事が悔やまれます。