京都農販日誌
猛暑日が続き、肥効が意図通りにならない時の対策について
2023/07/27
今年の夏は例年以上に猛暑日が多く、(畑作稲作どちらも)主に有機質肥料で肥効が意図通りでなくなっているという話をよく聞きます。
稲作の省力化と品質の向上を目指しての記事等で紹介しています稲作で土作りを行い、中干し無しで栽培している方の周辺の田で興味深い生育の差が見られましたので紹介します。
上の写真は土作り + 中干し無しで栽培されている方の田で、葉の色が薄緑を保っており、葉の先端の脱色が目立ちません。
例年よりも施肥量が半分にしていて土作りもしている為、生育は周辺よりも気持ち遅めです。
こちらは中干し無しの田の横の田になりまして、慣行通り中干し有りで栽培をしている田になります。
田に高低差があり、同じレベルで写真を撮影するのが難しかった為、比較をするのは難しいですが、
成長が早く、葉の先端で肥料が切れたか?もしくは高温ストレスで根から肥料が吸収できないか?による生理障害が発生し始めています。
上記のような葉の黄化が見られたら、新葉が展開するまで生産性が著しく低下します。
※養分転流であったとしても、葉の黄化が目立ち過ぎです
葉の黄化がどちらかの理由であれ、施肥が意図通りに効いていないのは明確で、昨今の気候条件では感と経験による栽培が通用しなくなっていることがわかります。
※今回記載しているどちらの田も基肥に一発肥料を用いています。
畑作でも同様の症状が見られ、土の物理性や化学性の向上に取り組んでいる方では辛うじて問題を回避しています。
土壌環境の改善はすぐにできるものではありませんので、毎年同じような施肥設計で栽培をすることを止め、植物性の有機物を増やし土の物理性(排水性・保水性)を高めるという視点を加えた施肥設計を始めてみることをおすすめします。