京都農販日誌

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猛暑日対策で田畑の土の保水性を高める

2023/08/17

ニュースで新潟県で深刻な水不足で田に水を入れることが出来ないという内容がありました。

連日の暑さ・水不足が“農作物”に影響… 品薄や変色被害に農家から悲鳴【新潟市】 県内ニュース | NST新潟総合テレビ


今年はラニーニャとエルニーニョが重なった事で危険な暑さの夏と言われている中で、農業用水が確保できなくなり、稲作以外の作物でも大きな被害が発生しているとのことです。

天候に関してはどうしようも出来ませんが、土壌の保水性であれば人為的に高める事が出来、日照りの影響を小さくすることが出来ますので、今回は保水性の向上に注目してみます。




はじめに保水性とは何か?から見ていく必要があります。



保水性とは読んで字のごとく、畑の土の水持ちの良さを指し、土壌診断ではpFで示されています。

※pFの詳細は端折ります

13 土壌透水性・保水性の診断 - 農林水産省


先に触れておきますが、



水はけが悪く、大雨後に水が残り続けるような土であっても保水性は高いということはなく、粘土質ですぐに締まるような土でも保水性が低いという事は良くあります。

これらを踏まえた上で、保水性とは何なのか?についてを考えていきたいと思います。


栽培者が保水性という用語に求めることとして、作物の根が好きなタイミングで吸水でき、晴れの日が続いても土に水が残っている状態になるかと思います。

もう少し整理してみますと、土壌粒子に利用しやすい形で水が繋がっている状態だと考えることができます。


水は土壌粒子とどのように繋がるのでしょうか?




土壌学の講義で、水は水酸基を持つ化合物と水素結合を行うので、保水性は土壌中に水酸基を多く持つ化合物の量に因るという話題がありました。



例えば、稲わらや落ち葉に含まれる成分で有名な植物繊維ことセルロースの化学組成は


Slashme - Redrawn from public-domain image Image:Cellulose-2D-skeletal.png uploaded by User:Benjah-bmm27, パブリック・ドメイン, リンクによる


のようになっていて、水酸基(-OH)が豊富に含まれています。


図:藤嶽暢英 土・水環境に遍在するフミン物質の構造化学的特徴とその多様性 学術の動向 2016.2 51ページより抜粋


落ち葉内のタンニン由来の腐植酸も大量の水酸基を持っています。

これらの化合物が土に馴染めば保水性が高まる事になります。

タンニン鉄を利用して秀品率を上げる




ここで一点程注意がありますが、



家畜糞にも植物繊維が含まれているので、土壌改良材として用いれば保水力が高まるのでは?と思いますが、家畜糞の主の成分である硝酸態窒素は土の浸透圧を高め、植物の根に吸水のストレスを与え、保水性の向上が活きてきません。


今は土の保水性を高めるのが急務ですので、少しでも負の要因を除いて、可能な限り保水性を高める事に徹底した方が良いです。


土の植物性有機物の量を増やすにあたって、田んぼから畑への土壌改良で地力薬師をどれ程入れたら良いか?の記事を一読することをおすすめします。


追記

水田で土の保水性が高まると、中干しで田から水を抜いても、ヒビ割れしにくくなります。

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