
京都農販日誌
保水性の向上の資材のEFポリマーには物理性の向上の可能性もある
2024/12/23
EF Polymer株式会社様より試供品を頂きましたので、早速試してみましたところ予想を超える変化がありましたので紹介します。
試す前に簡単な紹介ですが、
EFポリマーは食品残渣(主にカンキツの果皮)から製造された高吸水性樹脂(ポリマー)になります。
樹脂(ポリマー)は紙おむつ等の吸水に利用されている技術になりまして、EFポリマーも同様に水をたくさん吸収します。
ポリマーの主成分は植物の繊維(セルロースやペクチン等)になりまして、繊維は元から保水性があったところ、その保水性を強化したというイメージになります。
干ばつして砂漠化し、水の確保が難しい環境で栽培することを目的として開発されたそうです。
※日本であれば、砂地や塩類集積の土壌を想定
上記の内容を踏まえ、早速試してみます。
上の写真の容器に水を半分程入れて、30分程放置すると、
ポリマーが周辺にある水をすべて吸水しました。
一見、大きな塊のように見えますが、細かい粒がたくさんあり、堆肥と混ぜると、
のように分散して、ポリマーが一箇所に固まるということはなく、堆肥が乾きにくい状態(堆肥にとって良い状態)になりました。
地表から30cm程の箇所の有機物がほぼ無い層の粘土を掘り出し、ポリマーを少量含めて水に溶かして放置してみました。
※粘土なので、水溶ではなく、コロイド化になります
30分程放置した後、土の状態を確認してみましたところ、
粘土 + 水では、泥水のような状態でした。
一方、粘土 + ポリマー + 水では水がなくなり、団粒のようなものが出来ていました。
ポリマーの周りに粘土粒子が張り付いて、団粒同士が繋がらなくなり、団粒の間に空洞が出来ていました。
ポリマーで保水性の向上を目的にしていましたが、空洞ができたことにより物理性の向上の可能性も見えてきました。
※隙間ができることで保水性(ポリマー由来)と排水性(隙間由来)が同時に向上する
以上の話から、
稲作(田)から
畑作に転作する際に堆肥といっしょにEFポリマーを施肥することで土作りが時短できるようになるかもしれません。
他に緑肥の効果を高める為にEFポリマーを施肥してから、緑肥のタネを播種するといったことも考えられます。
理由に関しては、緑肥を利用する前の注意事項をまとめましたをご覧ください。