お役立ち農業辞書
保肥力と有機物
腐植などの有機物を土壌に入れると保肥力が上がると言われています。
それはどのような理由からでしょうか。
有機物が土壌に施用されると微生物によってタンパクや糖が分解されますが,その過程で有機酸が生成されます。
この有機酸が保肥力を上げる働きをするのです。
有機酸はそのほとんどがカルボン酸であり,下の図(赤枠)のようにカルボキシル基(-COOH)を持っています。
例:アミノ酸の構造式
このカルボキシル基の水素イオン(H+)が酸素イオン(O-)と離れ,代わりに他の陽イオン(Mg2+,Ca2+など)と酸素イオン(O-)が結合します。
つまり,有機酸は水素イオン(H+)を離して,代わりに肥料分となる陽イオンを吸着してくれるのです。
ですので,土壌の保肥力を上げるには有機物を土壌に入れたらよいということになります。
ただし,有機物の施用は窒素飢餓や一時的に土壌pHが下がることなど,気をつけなくてはなりません。