お役立ち農業辞書
土壌の緩衝性と有機物
土壌の緩衝性とは,pHの変動のしにくさのことです。土壌pHの変動が小さいと緩衝性が高いということです。
土壌の緩衝性を高めるのも有機物の施用がよいとされています。
有機物の施用が保肥力(CEC)を高めるのと同様の過程ですが,有機物の分解によって有機酸が生成され,その有機酸が緩衝性を高める働きをするのです。
下図は有機酸のカルボキシル基(-COOH)の構造を示しています。
カルボキシル基は周囲の環境によって水素イオン(H+)を放出して,他の陽イオンと結合します。これは保肥力にもつながるのですが,同時に土壌が酸性に傾くのを防ぐ働きにもなります。
※水素イオン(H+)濃度が高くなれば酸性に傾く
また以前,「炭酸根について」の項で書きましたが,炭酸根も土壌pHの安定に作用します。
そして,実はミミズの糞には炭酸塩が含まれているのです。ミミズは植物性の有機物が潤沢にあるところにたくさんいます。
「ミミズが適度にいる土は肥えている」等とよく言われるのは,こういう理由からもうなずけます。
※ミミズが大量にいるのは未熟な有機物が多いということで,作物の栽培にとっては発展中の環境ということになります。