京都農販日誌
地力を高めるには
2024/06/11
今回の内容は地力窒素についての続きになります。
昔からイネは地力で穫り、ムギは肥料で穫ると言われています。
これは稲は土地や周辺の資源を活用しながら少量の肥料で栽培することに対して、麦は栄養源のほぼすべてを肥料で補う事を意味しています。
地力の話題ですが、稲作の他に畑作でも時々見聞きしまして、地力を高める為に完熟の牛糞で土作りをすると良いという内容も見聞きします。
牛糞で地力が高まることに疑問がありまして、今回は地力について復習しながら考えていくことにしましょう。
はじめに地力について復習します。
地力について考える上で重要になるのが、土壌の鉱物は劣化していないか?と地力窒素はあるか?になります。
土壌の鉱物に関しては、土壌の劣化を考えるために地力について整理するに記載がありまして、土に含まれる小石(鉱物)に作物に必要な成分(カリウムやマグネシウム等)が含まれていて、根酸などで溶かすことによって養分を得ることが出来ます。
当然の話になりますが、養分が溶け出した小石は劣化して、いずれは養分がなくなります。
地力窒素に関しては、地力窒素についてに記載がありまして、タンパク質タンニン複合体等タンニンやリグニンが関係した内容が主になっています。
土壌中の地力窒素を増やす為には窒素源であるタンパク等の有機態窒素の前に、土壌中にタンニンが豊富に含まれている必要があります。
タンニン同士が繋がり大きなタンニンになったものは腐植酸のような構造になりますので、腐植酸 ≒ タンニンだと考えて話を進めますと、タンニンを豊富に含んだ有機物を主体として堆肥を作り、それを大量に施肥する必要があります。
タンニンを豊富に含む有機物を考えてみますと、真先に思いつくのが、
クヌギ等の落葉広葉樹の落ち葉になります。
これらの話をまとめますと、土壌中の地力窒素を増やすには、落ち葉等の有機物を主にして、そこにタンパク豊富な有機物を加えて堆肥を施肥すれば良いことになり、
牛糞等の家畜糞で地力窒素を増やすことが難しいことであることがわかります。
牛糞には植物性の有機物が含まれているだろうという意見がよく挙がりますが、牛の飼料にタンニンを豊富に含むものは与えませんので、牛糞の中にタンニンがあることも期待出来ません。
牛糞に敷き藁を混ぜて熟成させるだろうという意見もよく挙がりますが、敷き藁の方のタンニンも期待できませんし、牛糞を遥かに超える量の敷き藁を混ぜて熟成もしていないので更に期待できません。
牛糞にはまだ敷き藁分だけ植物性の有機物が含まれるから良いのですが、鶏糞になると更に無機の成分の割合が増えますので、鶏糞で地力窒素を高めるのは更に難しくなります。
これから記載する内容はまだ試したことがないので個人的な予想になりますが、
落ち葉を主にして
オカラをタンパク源として混ぜて、発酵のエネルギーとして少々の米ぬかを混ぜて熟成させた堆肥あたりが地力窒素を高める上で有効だと考えています。
おからとコーヒー粕を混合した堆肥の作り方 - 神奈川県ホームページ
取り扱い肥料で地力窒素を高める可能性があるものとして、
キノコ栽培の廃菌床を堆肥化したマッシュORGがあります。