
京都農販日誌
ノビエ対策で除草剤を散布される前に土の状態から見直す必要があるかもしれません
2026/05/24

稲作でノビエ(イヌビエ)等の除草で困っているのでどうにかなりませんか?という話題がよく挙がります。
田の中心付近でノビエが繁茂してしまうと周辺のイネの生育が著しく低下する上、除草作業も大変なので厄介です。
ノビエに繁茂によってイネの生育が著しく低下することに関して調べていた時に気になることがありましたので整理しながらその内容について触れます。
今回の話題を始める前に触れておきますが、年々増える猛暑日対策として、中干し無しの稲作に注目しています等の記事で紹介している田では物理性の改善に本腰を入れる前はノビエを見かけましたが、2年目あたりからノビエが見当たらなくなりました。
物理性の改善をすることで、ノビエにとって不利な環境に変わっていく可能性があります。
ノビエには下記のような厄介な点があります。
・イネと外観が似ていて、早期発見が難しい。
・イネと比較して成長が早い。(イヌビエは光合成能力が高いC4植物)
吉村泰幸 C4植物のきた道 - 植調 Vol.50, No.7(2016)
・アレロパシー物質を分泌して生育が優位になる
・イネと養分(特に鉄)の取り合いをする
ノビエ対策として除草剤を散布しますが、除草剤への耐性株が現れ、除草剤が効きにくく状況もノビエを強害雑草として扱う要因になっています。
ノビエと除草剤の話題ですが、よく利用されている除草剤で気になる話題がありましたので、その内容を整理していきます。
ノビエや他の田の雑草対策としてよく散布されている除草剤にALS(アセト乳酸合成酵素)阻害剤というものがあります。
ALS阻害剤には色々な種類がありますが、狙う作用は同じでアミノ酸の合成に関与するアセト乳酸という化合物の合成を阻害して枯らします。
この作用を見るとイネにも効くのでは?と不安になりますが、選択性(イネには効かず、ノビエ等には効く)の除草剤として扱われています。
ALS阻害剤が選択性である理由としまして、イネの方にシトクロムP450というALS阻害剤を解毒するような機能が備わっているということがあります。
ここで一つ気になったことがありまして、シトクロムP450という酵素は鉄を必要としているということがあります。
ここで改めて、先程挙げましたノビエの厄介な点を見てみますと、ノビエはイネと鉄の取り合いをしているということがあります。
更に稲作における一発肥料と土壌の劣化についての記事で触れていますが、主に大規模の田で慢性的な鉄欠乏という状況があります。
あくまで予想になりますが、これらの内容をまとめますと、ただでさえ鉄が少ない環境でノビエがイネから鉄を勝ち取った状態になっていて、ノビエにはあまり効かずにイネに効いてしまっているという状態になっている可能性があります。
であれば、除草剤を適切に効かせる為には、田植え前に土作りをする必要があるということが考えられます。
稲作にとっての土作りはケイ酸を適切に放出する粘土鉱物を仕込むことで、あり、粘土鉱物を仕込めば慢性的な鉄欠乏の問題は緩和されます。
具体的な内容に関しては稲作の省力化と品質の向上を目指してに記載がありますので、この場では詳細には触れません。
今回の話は稲作に限った話でない可能性が高く、畑作でも除草剤を適切に効かす為に土壌改良が必要であるかもしれません。
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