
京都農販日誌
稲作でも土作りが重要であると考えています
2025/08/26
稲作の肥料の話題が挙がりますと、今年は田植え前から一発肥料を使ったとしても追肥は行ってくださいという注意喚起をよく見聞きしました。
一発肥料という名であっても一発の効果を発揮しない肥料の意義は何か?と思ってしまいますが、それ程近年の猛暑日が増える事で稲作の栽培が厳しくなっているのだと思います。
このような状況ですが、興味深い事例がありますので、今回はその内容を記載します。
上の写真は3年前(2022年)に撮影したものになります。
左側の田と右側の田は数年前までは同じ品種、同じ水源、同じ施肥設計で稲作をしていました。
右側の田は5年前(2020年)からコメの品質向上の為に土作りを開始していまして、左側の田は今まで通りの施肥設計を続けています。
左側の田ですが、2022年に一発肥料が意図通りに効かなくなり、出穂時期に追肥を行うようになり、2024年に耕作放棄地となりました。
一方、右の田は一発肥料が効きすぎてしまう為、今まで2袋/反の一発肥料を施肥していましたが、2022年から1袋/反に減肥しつつ追肥は行っていません。
興味深い事にウンカやカメムシの虫害が減り、病気の発症も減った為、農薬散布の必要性が感じられず農薬の使用を止めています。
この内容から年々増え続ける猛暑に対して、稲作(水稲)であっても土作りは重要である可能性が高い事がわかります。
※土作りの内容は稲作の省力化と品質の向上を目指してに記載がありますので、今回の記事では触れません。
稲作における一発肥料と土壌の劣化についてで記載しましたが、一発肥料は地力を想定して設計されているようですが、昨今の稲作事情で地力が低下している傾向にあります。
であれば、一発肥料の設計に現在の事情が加味されていませんので、今後の稲作も厳しくなると予想でき、一発肥料の施肥設計の見直しが急務にです。
栽培品種を高温耐性品種にするといった選択をされている方がいますが、品種の選定よりも前に地力の増強に意識を向ける必要があると考えています。
大規模で稲作をされている方にとっては地力の増強に労力を割くのは難しいので、大規模向けは他産業との協働が必要になってくると予想しています。
大規模の稲作の地力の問題は引き続き模索していきます。