京都農販日誌
栽培が難しいとされる赤黄色土について
2024/08/27
栽培難易度が高いとされる赤黄色土について考えてみます。
赤黄色土は下記のように記載されています。
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赤黄色土は、有機物の蓄積が少なく、塩基飽和度が低く、風化の進んだ赤色または黄色の土壌である。
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地質図から訪れたことのない遠方の土質を予想する1から始まる地質と土質の関係の記事から赤黄色土について考えてみます。
上記の記事では土を山地の母岩が風化し、生物作用により土壌が生成されるというように記載しました。
土の基となる母岩は色々と種類がありますが、
図:火山と火成岩 - センサー地学 - 新興出版社啓林館より引用
岩石に含まれる造岩鉱物の構成によって特徴を判断出来ると記載しました。
ここで改めて風化という作用について触れますと、風化は造岩鉱物(一次鉱物)からマグネシウム(苦土)、鉄やカリウム等の金属の要素が溶脱しながら粘土鉱物(二次鉱物)に変化する作用と言えます。
一例を挙げますと、輝石(一次鉱物)が風化すると緑泥石(CEC:10〜40)を経て、バーミキュライト(CEC:100〜150)やモンモリロナイト(CEC:80〜150)の粘土鉱物(二次鉱物)になります。
粘土鉱物は風化により更にモンモリロナイトからカオリナイト(CEC:3〜15)に変成します。
CECの低い粘土鉱物は更に風化作用を受けると、ギブサイト(水酸化アルミニウム:Al(OH)3)等になり、栽培上不利な鉱物になります。
造岩鉱物の風化について触れましたので、
赤黄色土について考えてみます。
赤黄色土は風化が進んだ土ということになっています。
母岩を構成する造岩鉱物の大半は風化により、苦土、カリや微量要素のような肥料成分が溶脱し、CECの低い粘土鉱物(Al4Si4O10(OH)8)やギブサイト(Al(OH)3)になります。
造岩鉱物のうち、風化耐性のある鉱物は、
石英(SiO2)になり、風化をしても肥料成分の溶脱はなく、粘土鉱物にもなりません。
土の赤い色の要素である有色鉱物が風化によって顕著に減った為、土の色が薄くなり赤黄色の土になりました。
上記の内容から赤黄色土は石英、カオリナイトとギブサイトを主の鉱物として、CEC(保肥力)が低く、鉱物系の地力がなく、腐植の蓄積能も低い、締まった重い土であることがわかります。
鉱物由来の肥料成分が少ないことから、菌根菌の栽培を取り組む前に意識してほしいことで触れました菌根菌のような共生菌を用いた栽培を行っても期待した結果には成り難いことも予想できます。
腐植の蓄積能が低い為、有機物系の肥料を施肥する時は何らかの工夫をする必要があります。
赤黄色土でないほ場でも、土をケアせずに無理して栽培を続けると赤黄色土のような土質に変わっていきます。
地力を意識して、施肥設計を丁寧に行い、土の劣化を避けるように栽培を続けましょう。