
京都農販日誌
緑肥事例:難分解性有機物とアカクローバ
2025/03/06
今まで緑肥を試してきて、成功事例になり得る成果が出たものがいくつかありましたのでそのうちの一つを紹介します。

アカクローバというマメ科の緑肥ですが、

難分解性有機物として扱われている剪定枝を山積みにし、

その剪定枝を覆うようにアカクローバを播種した事があります。
※播種時期は初春
結果の前に剪定枝にアカクローバを播種した動機ですが、朝倉書店から出版されています土壌微生物生態学という本の37ページに根の直近数mmの土壌を根圏土壌と呼び、根圏土壌には好気性微生物が集まるという内容が記載されており、アカクローバの根圏土壌では、非根圏土壌の24.2倍程の好気性微生物の数となると記載されていました。
※コムギの根圏土壌は非根圏土壌の4.1倍
この根圏土壌の微生物の増加を根圏効果と呼ぶらしく、この効果を難分解性有機物の分解(団粒構造の促進)で活用したいと思い、剪定枝の山に対してアカクローバを播種しました。
剪定枝の上でアカクローバを栽培してみて、興味深い結果が2つありました。
一つは

ある程度生育したアカクローバを抜いてみたところですが、

根の周りに白い菌糸がびっしりと絡まっていました。
※他に一緒に播種したイネ科の緑肥はほぼ発芽せずで、剪定枝の上はクローバだらけになりました。
もう一つはアカクローバの生育を放置していたら、

クローバの群生の間からエノコログサが生えてきて、当たり一面エノコログサの群生が形成されました。
興味深い事に、エノコログサは人の背丈程の高さ(1.5m前後)になり、これまた緑肥による物理性の改善のような効果に繋がりました。
これらの草の群生をかき分けて根本を見てみると、

キノコが大量に生えていて、難分解性有機物の分解がまさに今行われていたことを実感しました。
この結果から、アカクローバには栽培者にとって都合の良い菌が集まってくる可能性があり、生物性の改善に効果があると予想しています。
