京都農販日誌

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大規模栽培用の堆肥の製造が急務であると考えています

2025/03/24


栽培面積の大規模化を行っている方の話を見聞きして、気になった事がありますので今回はその内容について整理します。

栽培面積を広げる際に新しい地域で畑を得たら、最初に土壌改良として入手が簡単な堆肥を探すそうですが、簡単に得られるものとして鶏糞があるそうです。



鶏糞は成分的に無機の栄養塩が多く含まれているので堆肥として扱うのは危ういと感じていまして、栽培開始から10年程は収穫できると思いますが、10年を超えた頃から秀品率が激減して大規模化を手掛けた方から耕作放棄地が大量に出るのでは?と不安を感じています。


大規模化で家畜糞を使うとなると、機械で一斉に散布することになりまして、従来の家畜糞の使用よりも大雑把になると予想されます。

家畜糞、特に鶏糞での心配毎は、鶏糞に含まれる無機窒素、石灰とリン酸の含有量になりまして、どれも連作障害の要因に成り得ます。

※他の家畜糞でも無機窒素とリン酸の過剰施肥の問題はあります。


無機窒素の蓄積は土壌中の微量要素(主にマンガン)の欠乏症を招き、石灰の過剰は他の要素(マグネシウムやカリウム)の吸収阻害を招きつつ、下がり難い土のpHにより鉄等の微量要素の肥効を下げ、リン酸は農薬の使用量を増やす可能性があります。

酸化還元電位から家畜糞による土作りを考える

石灰過剰問題について

土壌中のリン酸量と病原性のカビの振る舞いについて


大規模化により耕作放棄地の面積が減り、社会的に良い事であるが故に惜しいと感じるところです。


上記で見てきたような大規模化に伴う堆肥の問題に対して、



地域資源を散布しやすいように手を加え且つ残留性が低く効果が高いような資材開発(もしくはノウハウの蓄積)を行う事が肥料を取り扱う者にとっての急務の課題であると捉えています。


追記

鶏糞にオガ屑を混ぜてC/N比の改善を行った後に散布すれば良いのでは?という意見が挙がりますが、混ぜる場所や時期で肥効が大きく変わると予想していまして、そのノウハウ蓄積が重要であると考えています。

有機物の混和に関してはC/N比の高い有機物の腐熟についてをご覧ください。

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