
京都農販日誌
作物が病気になった時は農薬の使用の前に微量要素の葉面散布をおすすめします
2025/04/21
作物が病気にかかった時、意識すべきことは何ですか?という質問がありました。
作物が病気になった時は真っ先に殺菌剤系の農薬が頭に浮かびますが、すでに病斑が目立つ状態であれば農薬の効きは期待出来ません。
このような時は人が風邪をひいた時と同じで栄養をしっかりと摂って安静にすることが大事です。
動き回らない作物にとっての滋養強壮とは一体何なのでしょうか?
すべての生物に言えることですが、調子が良くなるというのは体内の酵素がしっかりと合成されて意図通りの働きをすることです。
酵素というのはタンパクで出来ていますので、意図通りにタンパクが合成されることが大事になります。
タンパクといえば、肥料であれば窒素肥料になりますので、病気になった時は窒素肥料を追肥すれば良い?と頭に浮かびますが、タンパクを合成する上で窒素肥料よりも重要な要素があります。
それは微量要素の亜鉛です。
亜鉛が不足していれば、いくらタンパクの材料である窒素肥料を吸収してもまともに合成してくれません。
タンパクが合成されなければ、病気に対する抵抗性も発揮しませんので、いつまで経っても作物は良くなりません。
作物が病気に感染した時は亜鉛の他にも大事な要素はありますが、亜鉛に注目する理由の一つに世界的に栽培土壌の大半で慢性的に亜鉛が欠乏しているという問題があります。
更に亜鉛はリン酸過剰の土壌では吸収を阻害される要因になりまして、(こちらで知る限り)土壌分析を取り続けているほぼすべての圃場でリン酸が過剰になっています。
リン酸過剰は病原性のカビの病原性を高める要因になりつつ、作物の方では抵抗性の低下につながるので、ダブルパンチで作物が病気に罹りやすい状況担っています。
このような状態で農薬に直ぐに頼っても費用対効果の低い残念な結果になってしまいます。
圃場で病気の蔓延が止まらなくなった時は、いち早く微量要素の施肥をおすすめします。
作物の調子が悪い時は(リン酸は多いですが)微量要素を適切に与えられるS×P42号とタンパクの材料となるアミノサンプロを組み合わせた葉面散布がおすすめです。
※病気の時は早く肥効を発揮する葉面散布がおすすめです。