
京都農販日誌
追肥で硝安と尿素はどちらが窒素肥料としての効きが早いのか?
2025/10/15
畑作で窒素肥料の追肥をする時に硝安(硝酸加里、硝酸石灰や硝酸苦土でも良い)と尿素のどちらが効きが早いのか?という質問がありました。
畑作において、窒素肥料がどのように効くかについて整理してみます。
畑作では窒素肥料は主に硝酸態窒素が水に溶けて硝酸イオンになることで作物が根から吸収出来るようになります。
※窒素肥料は有機態窒素の形でも根から吸収出来るものがあります。
硝安や硝酸石灰は水に溶かすと速やかに硝酸イオンとなり作物に吸収されるようになります。

一方、尿素は土壌の微生物等の働きにより、アンモニア態窒素になり、硝化細菌と呼ばれる微生物群による硝化作用になり亜硝酸イオンを経て硝酸イオンになることで始めて効きますので、根元に追肥やばら撒きをした場合は硝安(や硝酸石灰)の方が窒素肥料としての効きが早いことになります。
尿素には面白い特徴があります。

それは葉面散布をした際に尿素は速やかに吸収されます。
一方硝安等は水に溶けた時の荷電的な問題で葉面での吸収が遅れます。
※下記の内容を詳しく知りたい方は作物に対する葉面散布について | みんなのひろば | 日本植物生理学会を一読することをおすすめします。
上記の内容をまとめますと、根元にばら撒くような追肥の場合は硝安(や硝酸石灰)の方が効きが早く、葉面散布による追肥の場合は尿素の方が効きが早くなります。
