お役立ち農業辞書

お役立ち農業辞書

有機化合物

有機化合物とは炭素(C)を骨格とする化合物を指します。

肥料の話題に絞ると主に炭素(C)、水素(H)と酸素(O)を含む化合物になります。


有機化合物の例を挙げますと、



米ぬか等の有機質肥料に含まれるデンプンがあります。

※デンプンの化学式は(C6H12O6)nになり、nには自然数が入ります。


デンプンには一般的に言われる肥料成分(NPK、MgやCa)は含まれていませんが、肥料の効率を高める上で重要な機能がありまして、その内容は後ほど触れます。


肥料で使用する有機化合物の種類は下記になります。



先ほど挙げましたデンプン



菜種油粕等に含まれる油分(脂質)



植物質の有機物に含まれる植物繊維(水溶性も含む)



コーヒーやお茶でよく見聞きするポリフェノール

※ポリフェノールが複数個つながるとタンニンになる



オガクズ等に含まれるモノリグノール

※モノリグノールが複数個つながるとリグニンになる



ニンジンの栄養価で有名なβ-カロテン等のカロテノイド等があります。

アミノ酸や核酸も有機化合物に含まれますが、窒素肥料の意味合いが強いので、今回は省略します。




肥料としての有機化合物は構造によって機能が異なります。



米ぬかに含まれますデンプンや脂質の肥効について見ていきます。

デンプンや脂質はカロリーが高いというイメージがあり、施肥すると土壌中の微生物の働きが活発化し、土壌の生物性が向上する可能性があります。


もう一点重要な肥効としまして、デンプンは土壌中で下記のように分解されることがあります。

デンプン > ブドウ糖 > 有機酸 > 二酸化炭素 + 水


有機酸はその名の通り酸になりまして、



有機石灰(炭酸カルシウム)や微量要素各種を溶かし、肥効を高める効果があります。

※置換性塩基や微量要素の肥効の向上に合わせて、リン酸の肥効も向上します

※詳しくはキレート剤とキレート鉄 - 京都農販日誌をご覧ください





藁やミカンの皮等に含まれます植物繊維はデンプンよりも微生物によって分解され難く土壌に残留する有機物になります。

植物繊維で最も期待できる効果は吸水になりまして、繊維が土壌に馴染むと保水性が向上します。





ポリフェノールやモノリグノールですが、肥効は多岐に渡りますが、代表的な機能として土壌の微生物の働きにより腐植酸に変わっていくことがあります。

ポリフェノールやモノリグノールは植物繊維よりも微生物に分解され難く、微生物が活性化するとポリフェノールやモノリグノール同士が結合してより大きなタンニンになり、更に大きくなると腐植酸になっていきます。


腐植酸の肥効は土壌分析の話題の際に触れますが、排水性、保水性、緩衝性と保肥力の向上が期待出来、緩衝性と保肥力は微量要素の過剰症の回避にも繋がります。

腐植酸は有機酸の一種になりますので、有機酸で見られた肥効の向上も期待出来ます。

※詳しくはタンニン鉄を利用して秀品率を上げる - 京都農販日誌をご覧ください。





カロテノイドですが、肥効に関する研究はありませんが、抗酸化作用を有する化合物ですので微生物の活動の調整を行っている可能性があります。




有機化合物こと有機質の肥料ですが今回記載した内容の他に置換性塩基や微量要素が含まれています。


米ぬか可食部100gあたりの栄養価

成分名 単位
タンパク 13.4 g
脂質 19.6 g
食物繊維総量 20.5 g
炭水化物 48.8 g
ナトリウム 7 mg
カリウム 1500 mg
カルシウム 35 mg
マグネシウム 850 mg
リン 2000 mg
7.6 mg
亜鉛 5.9 mg
0.48 mg
マンガン 15 mg

穀類/こめ/[その他]/米ぬか - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類を参考にして作成

一覧に戻る

お問い合わせ

弊社へのご相談・ご質問は
こちらからお問い合わせください。

お問い合わせはこちら