
京都農販日誌
緑肥栽培の土壌改良材として軽石に注目しています
2025/04/04
緑肥栽培前の土壌改良材として軽石の施肥に注目しています。
何故緑肥の肥料に軽石なのか?の前に軽石について触れておきます。
軽石はマグマが急激に冷却・発泡することで形成される火山岩の一種になります。
主成分は二酸化ケイ素で、ガラス質を多く含んおり、このガラス質を火山ガラスと呼びます。
内部には無数の小さな空隙(多孔質)があることで軽くなり、土と混ぜると排水性が改善されます。
軽石自体に適度な保水性があるため、排水性と同時に保水性も改善されます。
軽石は園芸資材として、プランター栽培で用いられるイメージですが、上記の特徴から緑肥栽培でも効果を発揮するのでは?と考えています。
土壌改良材としての軽石のメリットですが、
- ・粘土質の土の排水性と保水性を改善する
- ・主成分の火山ガラスは風化するとアロフェンになる
- ・多孔質であるため、土壌の生物性(主に多様度)が向上する可能性がある
- ・軽石風化時に微量要素が溶脱される
※軽石の造岩鉱物には輝石や角閃石が含まれる
二番目のアロフェンはCEC(保肥力)が30〜200meq/100gという非常に大きな粘土鉱物で、腐植酸との相性も良い為、後の物理性の改善も期待できます。
※モンモリロナイトのCECが80〜150meq/100gあたりになります。
軽石のデメリットですが、
- ・リン酸吸収係数の数値が高まる
- ・土壌中でトラクターの刃を摩耗する要素が増えてしまう
- ・軽石のpHが酸性寄り
があります。
リン酸吸収係数とpHに関しては高いとリン酸が効きにくいというイメージはありますが、腐植酸の保持力として捉える事ができる可能性があるので、施肥設計資材でいくらでも化ける要素であるはずです。
三番目のトラクターの刃の摩耗は小粒、微粒の軽石であれば土壌中のレキよりも影響が小さくなるはずなので、軽石の種類に因るものになると考えています。
緑肥栽培の土壌改良材としての軽石は小粒の日向土等あたりを考えています。
以上の話を加味すると、
頻繁に話題に挙げているモンモリロナイト(地力薬師)と軽石は同じような効果になるので、モンモリロナイトは不要になるのでは?と思うかもしれませんが、同時に施肥する腐植質肥料に対して、モンモリロナイトは即効性で、軽石は遅効性といった形になり、モンモリロナイトをすべて軽石に代替したら、腐植質肥料が土に定着せずに損失する可能性が高いです。
軽石は後で効いてくるとイメージして、普段の施肥設計に少し添えるといったイメージでの使用を想定しています。