
京都農販日誌
地力薬師はケイ酸の補給に使えますか?
2025/06/10
地力薬師ことモンモリロナイトを主とした粘土鉱物肥料はケイ酸の補給として使えますか?という話題が頻繁に挙がります。
ケイ酸の補給として考えると、主成分はケイ酸になりますので、ケイ酸の補給としての効果は十分にありますが、ケイ酸の補給の質問をされる方はケイ酸肥料として有効ですか?という意図になるかと思いまして、この意図であれば一般的なケイ酸肥料(ケイ酸カルシウム)と比較するとケイ酸肥料としての肥効は遅い傾向にあります。
図:山崎淳司著 粘土鉱物の構造と化学 化学と教育 68巻 9号(2020年) 356ページ 図1より引用
モンモリロナイトの構造は上の図の四面体シート-八面体シート-四面体シートが一塊になり、この塊が層状に並んだ構造になっています。
このうち、四面体シートの方に
四面体シートの方がケイ酸になっていて、ケイ素(Si:●)を中心として、周りに○のOもしくはOH(ヒドロキシ基)で構成されています。
モンモリロナイトがケイ酸肥料として効くのは風化という過程により上記の構造が崩れた時にケイ酸が溶脱した時になります。
風化は主に、水の吸収と乾燥、凍結と融解を繰り返した時や、モンモリロナイト付近で微生物や植物の根から分泌される有機酸により起こりますが、く溶性肥料程の肥効の速さはありません。
モンモリロナイトを肥料として施肥する場合に絶対に忘れてはいけないのが、モンモリロナイトは電荷を持ち、それが保肥力の要素になるということです。
電荷は肥料成分に限らず、土壌改良で重要な腐植酸も保持しまして、モンモリロナイトは土を良くしつつ、遅れてケイ酸肥料として効く程度で捉えておくと良いでしょう。
余談ですが、モンモリロナイトのもう一つの利点としまして、他の鉱物が含まれていて、ミネラル分が豊富に含まれていますので、微量要素の補充としても有効です。
もし、ケイ酸肥料としてもモンモリロナイトを使っていきたい場合は、粒状の細かい薬師がありますので、そちらも混ぜるとケイ酸肥料としての効果が高まります。
稲作でケイ酸肥料として施肥する際、イネがケイ酸を要求するのが生育後期(幼穂形成期以降)になりまして、生育後期までにしっかりと株が根付いていたら、遅効性のモンモリロナイトでもケイ酸の効果は十分期待できます。
モンモリロナイトの施肥の際の注意
活性アルミナ等の発根を抑制する要素が溶脱することがありますので、活性アルミナを有効活用できる腐植質の肥料を併用して施肥する事をおすすめします。
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