
京都農販日誌
栽培を始める前に入れる石灰について
2025/10/08

上記のような土壌分析の結果があった場合、
・CEC(保肥力)の向上
・リン酸過剰の解決
・石灰(カルシウム)過剰の解決
・カリウム欠乏の解消
の順に考えると良いとお伝えしています。
石灰が過剰であれば、当然の事ながら石灰の施肥量は減らさなければなりません。
この話を伝えた際に「栽培を始める前に石灰を入れる」という栽培指導がありますが、それは誤りなのですか?という質問がありましたので、その内容について考えてみます。
指導の際の行動にはそれぞれ意味があります。
栽培を始める前の石灰(カルシウム)は、栽培に必要なカルシウム分の補充ではなく、前作で下がってしまったpHを元に戻す(pHを上げる)といったpHの調整の為に石灰を入れるという目的があります。
※pHとは何か?pHが下がる下がる理由や下がった時の問題点については緩衝性の向上 - お役立ち農業辞書をご覧ください。
であれば、冒頭の土壌分析の結果の場合、pHは適正値以上(pHが高い)になっていますので栽培を始める前に石灰を入れる必要がないということがわかります。
土の石灰量が過剰な状態を放置していますと、他の肥料成分(カリ、マグネシウムや微量要素)の肥料の効きが抑えられてしまいますので、様々な肥料成分の施肥が無駄になってしまいます。
栽培を始める前に石灰を入れるという指導は分り易くて良いのですが、分り易さには思い掛けない罠が潜んでいる事が多いので、指導の内容の背景にはどのような問題を解決したいのか?を意識してみることをおすすめします。
