
京都農販日誌
CECを1上げる為にどれ程の施肥が必要であるか?
2025/06/17
今回の内容はあくまで目安ですので、実際に記載されている量でCECが1上がる保証はありません。
今回の内容は植物性有機物に含まれる腐植が効きにくい砂質土を想定して計算を進めます。

頻繁に受ける質問としまして、2:1型粘土鉱物の地力薬師(主の鉱物がモンモリロナイト)や植物性の堆肥をどれ程投入したら良いですか?というものがあります。
これらの肥料は団粒構造の基になりますので、バランスを崩さなければ投入する程効果を体感できるものなので、予算の範囲内でなるべく多く入れてほしいと思うところですが、それでも目安は必要です。
わかりやすくする為に、CECを1上げるにはどれ程の施肥量になるか?という観点で考えてみます。
モンモリロナイトのCECは鉱物系肥料 - お役立ち農業辞書に記載されている内容をピックアップすると、60〜100meq/100gになりますが、弊社で取り扱っている地力薬師のCECは120meq/100gになりますので、この数値で計算してみます。
モンモリロナイトの肥効は土質に因りますが、単純に投入量分だけCECが上がると仮定しまして、1反当たりの土の重量を算出してみます。
1反 = 1000㎡で作土層は15cmだとします。
土の仮比重を1.0t/㎥だとして、土の重量を計算してみますと、
1000㎡ × 0.15m × 1.0t/㎥ = 150t = 150,000kgになります。
上記の土の重量に対して、CECを1meq/100g上げる為には、150,000meq/100g分のモンモリロナイトを投入する必要があります。
モンモリロナイトのCECは120meq/100gになりますので、150,000meq/100g ÷ 120meq/100g = 1,250kgの投入量になります。

CECはモンモリロナイトに限らず、植物性有機物に含まれる腐植でも向上することが可能です。
腐植のCECは30〜280meq/100gとされています。
腐植のCECは平均をとると、155meq/100gになりますが、計算しやすいように150meq/100gで話を進めます。
腐植だけでCECを1上げる場合は、モンモリロナイトの計算に120/150をかければ良いので、1,250 * 120 ÷ 150 = 1000kgになります。
ただし、植物性堆肥の方も堆肥中のすべてが腐植になるわけではないので、その分を加味する必要があります。
ハイブリットORGを参考にすると、C/N比が13で、窒素含有量が1.6%ですので、堆肥に含まれる炭素化合物がCECに関与すると仮定すると20.8%程の炭素量になります。
これを加味して、植物性堆肥の使用量の計算をすると、1000kg / 0.208 ≒ 4800kgになります。
粘土鉱物肥料と植物性堆肥は単体施肥ではなく、組み合わせることで効果を発揮します。
地域にもよりますが、CECを1上げる場合は、粘土鉱物がCECを1上げる量の1/5程度で、植物性堆肥がCECを1上げる量の4/5程度の組み合わせになります。
計算結果を当てはめますのと、粘土鉱物が200kg、植物性堆肥が3840kgとなります。
施肥前から土壌中に2:1型粘土鉱物が多い地域もありまして、その場合は上記の量よりも少ない量でCECが1上がる可能性もあります
今回の計算結果と土壌分析の結果を参考にしながら、CECが1上がる施肥量を探してみてください。
補足1
土壌中の腐植が1%増加すると、CECが約2meq/100g程増えるそうです。
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補足2
粘土鉱物肥料を施用すると、CECの向上の他に微量要素の補給の効果も期待出来ます。
