
京都農販日誌
病原性細菌に対しての抗菌物質について
2026/03/10
病原性の細菌(青枯病菌や軟腐病菌等)に対して自然環境で抗菌作用を持つようなものがあるか?という話題になりまして、関連しそうな研究報告がありましたので、今回はその内容の話を記載します。
西野勝俊等 抗菌物質・シュウ酸アルミニウムのマツタケシロにおける普遍的存在 - 日本きのこ学会誌, Vol. 26(1) 24-27, 2018に下記の内容が記載されています。
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マツタケの子実体は「シロ」と呼ばれるコロニーの周縁上に環状に形成される。シロは毎年約10〜15cmずつ外側へと菌糸の伸長とともに拡大する。シロ先端部は菌根が最も活発に生育している活性菌根帯である。シロ先端部の土壌がグラム陰性菌や枯草菌に対して抗菌活性を示す一方で、培養菌糸や子実体、シロ外部土壌の根は抗菌活性を示さないことが古くから知られている。
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※西野勝俊等 抗菌物質・シュウ酸アルミニウムのマツタケシロにおける普遍的存在 - 日本きのこ学会誌, Vol. 26(1) 24-27, 2018 24ページより引用
※青枯病菌と軟腐病菌はどちらもグラム陰性細菌になります。
上記で記載されているシロにはシュウ酸アルミニウム錯体というシュウ酸でアルミニウムをキレート結合している化合物が含まれていて、これが抗菌作用の要因になるそうです。
このシュウ酸アルミニウム錯体を栽培中に利用できるか?を考えてみます。
冒頭の論文ではマツタケという外生菌根菌の話題になりますが、圃場であればリン酸の回収の話題でよく話題に挙がりますアーバスキュラー菌根菌(AM菌)や根圏で作物と共生する可能性のあるトリコデルマ等もシュウ酸を分泌する可能性があります。
これらの菌の恩恵を得る為に意識すべき内容があります。
その内容はリン酸が過剰な土壌では菌根菌等の共生菌の恩恵を受け難いという事があります。
根圏にシュウ酸を分泌する糸状菌がいれば良いのでは?と思いますが、その糸状菌が作物に対して寄生性の働きをしてしまうと本末転倒でして、シュウ酸を分泌する糸状菌がいること且つ共生していることが重要になり、その鍵となるのが土壌中のリン酸の量になります。
菌根菌との共生であれば、青枯病のような深層に潜伏してしまうような細菌であっても、菌根菌が作物の根が青枯病との接触を抑えてくれる可能性があります。
リン酸過剰問題を解決するには腐植酸資材の活用等も視野にいれて物理性の改善も行う必要があります。
後はアルミニウムになりますが、


これは粘土鉱物やゼオライトの風化によって溶脱しまして、これらの資材で土作りを行えば良いです。
一般的に鉱物から溶脱したアルミニウムは活性アルミナと呼ばれ、栽培上よろしくないイメージがありますが、土の物理性や生物性が整っていれば、今回の話題のように抗菌作用を示す可能性がありまして、農薬の使用量を減らして秀品率を高めたいのであれば、腐植や粘土鉱物でしっかりと土作りを行う必要があるといういつもの結論に行き着いてしまいます。
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