京都農販日誌

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連日の猛暑対策

2025/07/25


連日の猛暑日が続き、栽培が難しい状態になっています。

播種や定植の前に土壌改良を行い、保水性を高めておくだけでも栽培は幾分楽な状態になりますが、そうでない場合は水やりの頻度が高まり大変になります。

保水性の向上に関わる有機物について

保水性の向上の資材のEFポリマーには物理性の向上の可能性もある


すぐに思い付く散水の他に、今から出来る猛暑日対策について考えてみます。

具体的な対策はこちら




今回は葉の高温障害について考えてみます。

葉の高温障害で思い浮かぶものとしまして、葉が夏の強い紫外線に当たることにより活性酸素(ROS: Reactive Oxygen Species)が大量に発生するようになります。


葉では常に活性酸素が発生していまして、少量であれば光合成の促進に関与といった事が見られますが、大量に発生しますと葉緑素やタンパクがダメージを受け、葉の黄化や白化の原因になる他、葉で起こる様々な生理作用に悪影響を与えます。


葉の生理作用が低下すると、気孔の開閉にも悪影響を与え、



根の吸水力も低下します。

吸水力の低下により、葉からの蒸散量も減り、株内に熱がこもり高温障害は更に悪化します。

猛暑日対策


以上の話から、葉内で自然発生する活性酸素の量を抑える事ができれば、高温障害の緩和に繋がることがわかりまして、実際にどうすれば良いか?を考えてみます。




はじめに葉が受光する際の紫外線量の削減を考えてみます。

単純に考えますと遮光ネットのようなものを使えば受光する紫外線量は減りますが、現実的な対策ではありません。


植物には紫外線を反射するような機能が備わっていまして、その機能をフル活用出来る方法が最良の手に成り得ます。


紫外線の反射はポリフェノールと呼ばれる化合物を葉の表面を覆うように合成することで発揮するとされています。

であれば、ポリフェノールの合成量を増やせば高温障害に緩和に繋がります。

タンニン鉄を利用して秀品率を上げる


ポリフェノールの合成に関しては一旦置いときまして、葉で自然発生した活性酸素の影響を抑えるような抗酸化物質の投入でも高温障害を緩和出来ます。

植物の葉内で代表的な抗酸化作用を持つ化合物は抗酸化酵素、グルタチオン、ポリフェノール、カロテノイドやビタミン(CやE)があります。


活性酸素の影響を抑える方でもポリフェノールが挙がりました。

ポリフェノールの合成に注目すれば、高温障害の緩和に繋がる可能性が高そうです。




ポリフェノールはアミノ酸のチロシンやフェニルアラニンから合成されます。


これらのアミノ酸を作物に与えれば高温障害に強くなる?と思いたくなりますが、チロシンからポリフェノールを合成するに当たって、多くのアミノ酸を使ってポリフェノールの合成酵素を生成して、酵素は各種微量要素と協働でポリフェノールを合成します。

※ポリフェノールの合成量の増加に合わせて、グルタチオンやカロテノイドの合成量も高まります。


これらの内容を加味しますと、葉のつやが増しアミノ酸肥料と微量要素肥料を同時に施肥すれば高温障害の緩和に繋がりますが、ここで一点注意が必要です。


高温障害を心配するような気候である場合、上記で記載しました通り、根からの吸水力が落ちている可能性があり、根元に追肥してもうまく吸収されない可能性が非常に高いです。


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追肥は葉と根の両方から吸収が狙える葉面散布を行うことをおすすめします。


追記1

目立った病斑は見られない程度の植物寄生性の菌の感染に注意を向けておくと良いです。

病斑は出ていないとしても、抗酸化物質の合成に関与する微量要素を盗られている可能性があります。

植物寄生性の菌対策は栽培が不調な時は亜鉛に注目しましょうに記載があります。


追記2

活性酸素を消去する抗酸化酵素にはマンガンを利用するものがあります。

マンガンといえば、牛糞等の家畜糞を毎年施肥している土壌で欠乏しやすくなる要素です。

酸化還元電位から家畜糞による土作りを考える


家畜糞による土作りを止めるのも、猛暑対策の重要な一手となります。

堆肥に求める機能

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